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「IT導入補助金でECサイトを作れないか調べてほしい」と言われて検索したものの、記事によって言うことが違っていたり、ベンダーの「対象です」という説明も本当か分からなかったり、判断に迷っている担当者も多いのではないでしょうか。

古い情報のまま動くと、交付決定前の発注で全額が自己負担になったり、対象外の費用を前提に予算を組んだりしかねません。

結論から言えば、2026年度もECサイトの制作は対象外です。ただし、受注管理や会計、セキュリティといった業務ソフトにはEC事業者が使える枠があり、2回目以降の申請要件が加わって手続きは厳しくなりました。

本記事では、公募要領・事務局のFAQ・公表されている申請数と交付決定数をもとに、2026年度に変わった点と変わっていない点を整理し解説します。

デジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金)の概要

デジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金)の概要

IT導入補助金は2026年度に「デジタル化・AI導入補助金」へ改称、5つの枠は継続し、2回目以降の申請要件が増えました。

制度の骨子は次の3点です。

  • 中小企業・小規模事業者がITツール(ソフトウェアやクラウドサービス)を導入する費用の一部を国が補助する
  • 対象は事務局に登録されたITツールに限られ、登録されたIT導入支援事業者と共同で申請する
  • 交付決定の後に導入し、事業実績報告を経て補助金が支払われる後払い方式である

申請枠は通常枠、インボイス枠(インボイス対応類型)、インボイス枠(電子取引類型)、セキュリティ対策推進枠、複数者連携デジタル化・AI導入枠の5つで、枠ごとの補助率と上限は次の章で表にまとめています。

デジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金)の概要

画像引用:デジタル化・AI導入補助金事務局「デジタル化・AI導入補助金2026 制度概要」

EC事業者が押さえておきたい注意点は2つあります。

  • ECサイトの構築には使えない(事務局FAQで明記)
  • 通販基幹システムの導入やセキュリティ対策には、登録済みのツールであれば使える可能性がある

対象者は中小企業・小規模事業者で、個人事業主も申請できます(日本国内に事業実施場所があること。法人番号のない個人は屋号で申請)。

通販マーケッターEight!を提供する東通メディアでは、EC事業で使える補助金を横断して整理した資料も用意しています。

▶︎「EC事業で使える補助金6選」のダウンロードはこちら

2025年度から変わった3つの点

2025年度からの変更点は、名称、2回目以降の申請要件、AI機能の明記の3つです。補助率と上限額は2025年度と同じで、通常枠450万円、インボイス枠350万円、セキュリティ対策推進枠150万円、複数者連携枠3,000万円のままです。

項目 2025年度 2026年度 EC事業者への影響
名称 IT導入補助金2025 デジタル化・AI導入補助金2026 申請マイページや事務局のメールには旧名称が残るため、読み替えが必要
2回目以降の申請 要件なし 2022〜2025年度に交付決定を受けた事業者は、3年間の事業計画と賃上げ計画の表明、効果報告が申請要件 過去に使った事業者ほど、申請前に要件の確認が必要
AI機能 区分なし ITツール検索でAI機能つきツールの絞り込み・表示が可能に(支援事業者が申告した場合) 探しやすくなっただけで、加点項目ではない

名称変更の理由について事務局は、ITツールの導入にとどまらず、より踏み込んだデジタル化の推進とAIの活用が重要であることを広く周知するためと説明しています。

2回目以降の申請要件では、翌事業年度以降3年間の事業計画で1人当たり給与支給総額の年平均成長率を「物価安定の目標」に1.5%を加えた水準以上とし、賃上げ計画を従業員に表明したうえで効果報告を提出することが求められます。未達や未提出の場合は補助金の全部または一部の返還対象です。

AI機能については、公募要領の加点項目にAIは含まれていません。

申請の流れと締切

申請から効果報告まで、次の順に進みます。

  1. GビズIDプライムを取得し(発行までおおむね2週間)、SECURITY ACTIONの一つ星以上を宣言する(自己宣言IDの発行まで2〜3日。いずれも事務局「申請前の手続き」ページの目安)
  2. IT導入支援事業者とITツールを選ぶ
  3. 支援事業者と共同で交付申請を作成し、提出する
  4. 審査を経て交付決定を受ける
  5. 交付決定後に契約・発注・導入・支払いを行う
  6. 事業実績報告を提出し、審査後に補助金が交付される
  7. 事業計画期間中、効果報告を提出する

申請は1法人・1個人事業主あたり1申請です。ただし、インボイス枠(2類型)とセキュリティ対策推進枠は、通常枠と同じ期間に別途申請できます。

デジタル化・AI導入補助金2026の5つの申請枠

申請枠は通常枠・インボイス枠2類型・セキュリティ枠・複数者連携枠の5つで、EC事業者が単独で使えるのは3つです。

EC事業者が自社で申請できるのは、通常枠、インボイス枠のインボイス対応類型、セキュリティ対策推進枠の3つです。電子取引類型は発注側の企業が受注側に無償でツールを提供する場合の枠、複数者連携枠は商工団体やコンソーシアムが申請する枠のため、単独のEC事業者は対象になりません。

枠 対象 補助率 上限 EC事業者との関係
通常枠 業務プロセスを持つ登録済みソフト 1/2以内(最低賃金近傍の事業者は2/3以内) 5万〜450万円(プロセス数で変動) 受注管理・在庫管理・顧客管理はこの枠
インボイス枠(インボイス対応類型) 会計・受発注・決済の機能を持つインボイス対応ソフト+PC・レジ等 3/4(小規模事業者4/5)〜2/3 350万円(PC10万円・レジ20万円まで) 会計ソフトの入れ替え、実店舗併売のレジ
インボイス枠(電子取引類型) 発注側が導入し受注側に無償提供する受発注ソフト 中小2/3、その他1/2 350万円 単独のEC事業者は対象外
セキュリティ対策推進枠 IPA「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」の登録サービス 小規模2/3、中小1/2 5万〜150万円 個人情報を扱うEC事業者の不正アクセス対策
複数者連携デジタル化・AI導入枠 商工団体・まちづくり会社・コンソーシアム 3/4〜2/3 3,000万円(その他経費200万円) 商店街・産地の共同事業に参加する場合のみ

※各枠の公式ページ(2026年9月18日確認)をもとに作成

通常枠

通常枠は、業務プロセスを持つ登録済みソフトウェアの導入を対象にした基本の枠で、EC事業者の受注管理・在庫管理・顧客管理はここに当たります。

対象になるITツールは、共通プロセス(顧客対応・販売支援、決済・債権債務・資金回収管理、供給・在庫・物流、会計・財務・経営、総務・人事・給与・教育訓練・法務・情シス・統合業務)または業種特化型プロセスを1種類以上持つソフトウェアです。汎用的な自動化・分析ツールを単体で申請することはできず、ハードウェアも対象になりません。

対象経費として認められるのは、ソフトウェア購入費、クラウド利用料(最大2年分)、オプション、導入・活用支援や設定・研修・保守などの役務費です。

補助率は1/2以内で、令和6年10月から令和7年9月の間に、当時の地域別最低賃金以上かつ令和7年度改定後の地域別最低賃金未満で雇用する従業員が全従業員の30%以上いる月が3か月以上ある事業者(最低賃金近傍の事業者)は、2/3以内に引き上げられます。

補助額は、ITツールが持つ業務プロセスの数で2段階に分かれます。

  • 業務プロセス1〜3つ:5万円以上150万円未満
  • 業務プロセス4つ以上:150万円以上450万円以下

加点項目にはクラウド利用、インボイス対応、賃上げ計画、IT戦略ナビwith、省力化ナビがあります。

出典:デジタル化・AI導入補助金2026 通常枠

出典:デジタル化・AI導入補助金2026 公募要領

インボイス枠(インボイス対応類型)

インボイス対応類型は、会計・受発注・決済のいずれかの機能を持つインボイス対応ソフトと、あわせて導入するPC・タブレット・レジなどのハードウェアを対象にした枠です。

ソフトウェアの補助率は、補助額50万円以下の部分が3/4(小規模事業者は4/5)、50万円超から350万円までの部分が2/3です。50万円を超える申請には2機能以上が必要になります。

ハードウェアは補助率1/2で、PC・タブレット等は10万円まで、レジ・券売機等は20万円までが上限です。ハードウェアだけの申請はできません。

2026年8月28日には、タブレットなどの汎用機器をレジ端末にするスマートレジの導入を3次締切分から優先採択することが事務局から公表されました。実店舗を併売するEC事業者が、店舗のレジとECの売上を同じ会計ソフトに取り込む場面で関係します。

出典:デジタル化・AI導入補助金2026 インボイス枠(インボイス対応類型)

出典:スマートレジシステム導入に「デジタル化・AI導入補助金」が活用できます

インボイス枠(電子取引類型)

電子取引類型は、発注側の企業(大企業を含む)がインボイス対応の受発注ソフトを導入し、受注側の中小企業に無償で使わせる場合を対象にした枠です。

補助率は中小企業・小規模事業者が2/3、その他の事業者が1/2で、上限は350万円です。

取引先の多い卸売業者が発注側として導入し、受注側の中小企業にアカウントを配る形が典型で、EC事業者が自社のために単独で使う枠ではありません。2026年度の1次から3次までの申請数はいずれも0件で、実際の利用はほとんどない状況です。

出典:デジタル化・AI導入補助金2026 インボイス枠(電子取引類型)

出典:デジタル化・AI導入補助金2026 交付決定事業者一覧

セキュリティ対策推進枠

セキュリティ対策推進枠は、IPA(情報処理推進機構)の「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載され、事務局に登録されたサービスの利用料(最大2年分)を対象にした枠です。

補助率は小規模事業者が2/3、中小企業が1/2で、補助額は5万円から150万円です。

お助け隊サービスは、ネットワークの監視(見守り)、インシデント発生時の駆けつけ、サイバー保険、専門家への相談をセットにした中小企業向けのサービスで、顧客の個人情報を扱うEC事業者にとっては不正アクセス対策の入口として使いやすい枠といえます。

一方で申請数は少なく、2026年度は1次88件、2次28件、3次18件にとどまります。EC事業者の間で枠の存在自体があまり知られていないのが実情です。

出典:デジタル化・AI導入補助金2026 セキュリティ対策推進枠

出典:デジタル化・AI導入補助金2026 交付決定事業者一覧

複数者連携デジタル化・AI導入枠

複数者連携デジタル化・AI導入枠は、旧「複数社連携IT導入枠」から名称が変わった枠で、商工団体・まちづくり会社・コンソーシアムが対象者です。

複数の中小企業・小規模事業者が参加する取り組みに対して、基盤導入経費はソフトウェア50万円以下の部分が3/4(小規模事業者4/5)、50万円超から350万円までの部分が2/3(いずれも1構成員あたり)で補助され、基盤導入経費と消費動向等分析経費の合計で上限3,000万円、事務費・専門家費などのその他経費は上限200万円です。

単独のEC事業者は申請できません。商店街や産地の共同事業に参加する形で関わる可能性はありますが、自社の受注管理や会計ソフトを入れる目的であれば、通常枠かインボイス枠を検討してください。

出典:デジタル化・AI導入補助金2026 複数者連携デジタル化・AI導入枠

なぜECサイト制作は対象外?2026年度も変わらない線引き

なぜECサイト制作は対象外?2026年度も変わらない線引き

事務局FAQは2026年度も「ホームページ制作(ECサイト制作含む)は補助対象外」と明記し、扱いは変わっていません。

この章では、「対象外は本当か(公式の根拠)」「いつから、なぜ対象外になったのか」「ECサイトのどの費用が対象外で、どのソフトなら対象になるのか」の3つに答えます。

事務局FAQの回答は「ホームページ制作(ECサイト制作含む)は補助対象外」

公式の答えは、事務局が公開している通常枠のFAQに1行で書かれています。

Q5「ホームページ制作は補助対象ですか」に対する回答は、「ホームページ制作(ECサイト制作含む)は補助対象外です」となっています。

名称に「AI」が付いたことで扱いが変わったわけではありません。AI機能つきのECサイト制作サービスであっても、ECサイト制作である以上は同じく対象外です。

出典:デジタル化・AI導入補助金2026 通常枠 よくあるご質問

対象外になった経緯は2024年度の枠改定

ECサイト構築が対象外になったのは、2024年度の申請枠の改定からです。2023年度までは「デジタル化基盤導入枠」があり、ECサイトの構築費用も補助の対象でした。

2024年度の改定でこの枠がなくなり、以降の枠は通常枠、インボイス枠(2類型)、セキュリティ対策推進枠、複数社連携枠(2026年度から複数者連携枠)の構成になりました。

この構成の中にECサイト構築を対象とする枠はなく、2026年度も同じ構成が続いています。

対象外の費用と対象になり得るソフトの線引き

線引きの考え方は、「作るもの(制作物)」は対象外、「業務を回すソフト(登録済み)」は対象、と整理できます。

ITツール登録要領は、登録の対象外になるものを具体的に挙げています。ECサイトに関係する費用を当てはめると次のとおりです。

費用の種類 扱い 根拠(ITツール登録要領の項目)
ECサイトのデザイン制作・機能カスタマイズ費、リニューアルやUI改修の開発費 対象外 制作ツールにおける追加開発費用が含まれるもの(シ)
カート・決済モジュールの導入費(サイト制作の一部として行うもの) 対象外 サイト制作の一部として行う場合は制作費と同じ扱いになる(登録要領の(シ)(ス)をもとにした本記事の整理)
集客用ランディングページの制作費、広告宣伝費 対象外 広告宣伝に類するもの(セ)
単なるコンテンツ配信 対象外 単なるコンテンツ配信管理システム(ソ)
特定顧客向けに限定され一般販売されていないもの 対象外 (サ)
追加ライセンス・リビジョンアップ費用 対象外 (ケ)
完成済みで追加開発費を含まない登録ツール 対象になり得る 既に完成しており追加開発費用を含まない制作ツールは登録対象
分析・指示・演算・制御のプログラム 対象になり得る (ス)のただし書き
受注・在庫・会計など業務プロセスを持つソフト 対象になり得る 通常枠の対象ITツールの定義

出典:デジタル化・AI導入補助金2026 ITツール登録要領

つまり、カート機能や決済機能そのものが禁止されているのではなく、「ECサイトを作る作業の費用」が対象外であり、「登録済みの業務ソフトを導入する費用」は枠の要件を満たせば対象になります。

デジタル化・AI導入補助金2026をEC事業者が活用できる範囲

受注・在庫・会計・決済・セキュリティの業務ソフトは、登録済みなら通常枠・インボイス枠・セキュリティ枠で対象になります。

EC事業者が使える範囲を枠別に整理すると次のとおりです。

枠 対象になるソフト・機能 EC実務での用途 確認先
通常枠 受注管理・在庫管理・一元管理・販売管理・顧客管理・MA 複数モールの受注・在庫の同期、売り越し防止、顧客フォロー ITツール検索で「顧客対応・販売支援」「供給・在庫・物流」のプロセスを持つか
インボイス枠(インボイス対応類型) 会計・受発注・決済の機能を持つインボイス対応ソフト、PC・レジ 適格請求書の発行、モール売上の会計取込、実店舗のレジ ITツール検索でインボイス対応の登録があるか
セキュリティ対策推進枠 お助け隊サービスリストの登録サービス 個人情報を扱うサイトの監視・不正アクセス対策 IPAのサービスリストと事務局の登録
通常枠(基幹システム) 業務プロセスを持つ登録済みの通販基幹システム 受注から在庫・出荷・顧客・売上までの統合 登録の有無と、カスタマイズ部分が対象外にならないか

MA(マーケティングオートメーション)や顧客分析のツールは通常枠の共通プロセス「顧客対応・販売支援」に含まれます。

通常枠で導入できる受注管理・在庫管理・顧客管理のソフト

受注管理・在庫管理・一元管理・販売管理・顧客管理・MAのソフトは、通常枠の共通プロセス「顧客対応・販売支援」「供給・在庫・物流」に当たり、登録済みであれば対象です。

EC実務での用途は、複数のモールと自社ECの注文を1つの画面で処理し、在庫を同期して在庫切れや二重発送といった人的ミスを減らすことです。導入時の設定・研修・マニュアル整備といった役務費も、対象経費に含まれる場合があります。

補助率は1/2(最低賃金近傍の事業者は2/3)で、ITツールが持つ業務プロセスが4つ以上なら上限は450万円です。

インボイス枠で導入できる会計・受発注・決済ソフトとレジ

会計・受発注・決済のいずれかの機能を持つインボイス対応ソフトと、あわせて導入するPC・タブレット・レジは、インボイス枠(インボイス対応類型)の対象です。

機能要件は1機能以上で、補助額が50万円を超える場合は2機能以上が必要です。

補助率は50万円以下の部分が3/4(小規模事業者4/5)、50万円超から350万円までが2/3で、PC・タブレットは10万円、レジ・券売機は20万円まで(いずれも1/2)です。

EC実務では、適格請求書の発行と受領の自動化、電子帳簿保存法への対応、クラウド会計とモール売上・受注管理の連携が主な用途になります。2026年8月28日に公表されたスマートレジの優先採択は、実店舗を併売するEC事業者が店舗のレジをタブレット型に切り替える場面で関係します。

セキュリティ対策推進枠で導入できる不正アクセス対策

不正アクセス対策や監視サービスは、IPAの「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載され、事務局に登録されたサービスであればセキュリティ対策推進枠の対象です。

対象サービスは、見守り(監視)・駆けつけ・保険・相談をセットにした中小企業向けのパッケージで、利用料の最大2年分が補助されます。補助率は小規模事業者が2/3、中小企業が1/2、補助額は5万円から150万円です。

EC事業者は氏名・住所・購入履歴といった個人情報を日常的に扱うため、監視と初動対応をセットで備えておく意味は大きいといえます。

通販基幹システムの導入・刷新に使える条件

通販基幹システムも、「業務プロセスを持つソフト」として事務局に登録されていれば、通常枠の対象になり得ます。

ただし、対象外になる部分があります。特定の顧客向けに限定され一般市場に販売されていないもの、追加ライセンスやリビジョンアップの費用、追加開発費を含むものは登録の対象外のため、業務フローに合わせた大規模なカスタマイズは登録ツールの範囲から外れやすい点に注意してください。

もう1つの注意点は金額の関係です。通常枠の上限は450万円、補助率は1/2ですが、基幹システムの導入費用はそれを大きく上回るのが一般的です。補助金は「採択された場合の上振れ分」と位置づけ、補助金ありきで予算を組まないことをおすすめします。

費用の目安は、以下の資料で整理しています。

▶︎「通販基幹システムの費用相場|年商規模別の目安と失敗しない判断軸【2026年最新】」のダウンロードはこちら

期間の関係も確認が必要です。基幹システムの導入には半年から1年程度かかる一方、交付決定から事業実績報告までは6か月程度とされ、この事業実施期間内に導入を完了して支払いまで済ませる必要があります。全体を一度に導入するのではなく、補助対象にする範囲を先に稼働させる段階導入との組み合わせを検討してください。

自社のツールが対象かを確かめる方法と交付決定の実績

検討中のツールが対象かどうかは、事務局の「ITツール・IT導入支援事業者検索」で、登録ツール名と支援事業者名を突き合わせて確かめます。

ITツール・IT導入支援事業者検索では、要件・目的、AI機能の有無、地域で絞り込めます。ベンダーのサイトに「補助金対象」と表示されていても、検索で登録ツール名と支援事業者名の両方が出てくるかを確認してください。

移行登録の手続き中のツールは表示されない場合があるため、見つからないときはベンダーに登録状況を問い合わせます。

あわせて確認しておきたいのが、申請すれば必ずもらえるわけではないという事実です。事務局が公表している2026年度の申請数と交付決定数は次のとおりです。

締切 通常枠(申請数/交付決定数) 交付決定率 インボイス対応類型(申請数/交付決定数) 交付決定率
1次(交付決定6月18日) 2,028件/891件 43.9% 4,324件/2,027件 46.9%
2次(7月23日) 1,879件/819件 43.6% 3,790件/2,096件 55.3%
3次(9月2日) 1,913件/807件 42.2% 3,982件/1,781件 44.7%

※交付決定率は交付決定数÷申請数で本記事が計算。事務局は採択率を公表していません

通常枠は申請の4割強、インボイス対応類型は4割半ばから5割半ばが交付決定されています。残りは交付に至っていないため、補助金を前提にした資金計画は、次の章で説明する後払いの仕組みとあわせて慎重に組む必要があります。

出典:デジタル化・AI導入補助金2026 交付決定事業者一覧

ECサイト本体の構築に使える補助金

ECサイト本体の構築に使える補助金

ECサイト本体の構築費は、持続化補助金・省力化投資補助金・新事業進出・ものづくり商業サービス補助金が受け皿です。

事業再構築補助金と、その後継だった中小企業新事業進出補助金はいずれも終了しています。

制度ごとの要点は次のとおりです。

【小規模事業者持続化補助金】

  • 通常枠の上限50万円(特定の条件で250万円)、補助率⅔
  • 対象経費に「ECサイト構築」が明記
  • ウェブサイト関連費の補助金交付申請額は上限30万円(税込)

【新事業進出・ものづくり商業サービス補助金】

  • 事業再構築補助金と中小企業新事業進出補助金の後継にあたる統合補助金
  • 新事業進出枠の上限は従業員規模に応じて2,500万円から7,000万円(賃上げ特例で3,000万円から9,000万円)
  • 補助率は1/2から2/3

【中小企業省力化投資補助金】

  • 一般型は上限1億円、カタログ注文型は上限1,500万円
  • 公式の具体例に、通信販売事業者が自動梱包機と倉庫管理システムを開発・導入する事業が挙げられている

【自治体の補助金】

  • 自治体が独自にECサイト構築を支援する制度
  • 募集時期と要件は自治体ごとに異なる

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【2026年】ECサイト構築・運用に使える補助金6選!補助金額や申請方法などを紹介

デジタル化・AI導入補助金2026を利用するときの注意点

デジタル化・AI導入補助金2026を利用するときの注意点

後払いと交付決定前の発注禁止に加え、2026年度は効果報告の未提出や賃上げ目標の未達で補助金の返還を求められます。

この章で扱う注意点は次の5つです。

後払い方式による資金繰りと実績報告

補助金は後払いのため、導入費用の全額をいったん自己資金で支払う必要があります。

流れは以下の通りです。

  1. 交付決定
  2. 契約・発注
  3. 導入・支払い
  4. 事業実績報告(交付決定から6か月程度)
  5. 審査
  6. 補助金の交付

たとえば300万円のソフトを導入して補助率1/2なら、最終的に150万円が戻る計算ですが、支払いの時点では300万円が必要です。

事業実績報告では、契約書・請求書・振込明細・納品書・稼働画面など、導入と支払いを証明する書類をそろえます。不備があると減額や不交付になります。

また、通常枠は申請の4割強しか交付決定されていないため、不採択でも事業を続けられる資金計画を前提にし、必要に応じてつなぎ融資も検討してください。

交付決定前の着手は補助対象外

交付決定の通知を受ける前に契約・発注・支払いをすると、その費用は全額が補助対象外になります。

締切から交付決定までは約6週間で、5次の場合は9月29日の締切に対して11月9日に交付決定の予定です。導入時期は交付決定の後に設定し、そこから逆算してスケジュールを組んでください。

締切直前の申請では、見積書の日付や発注日が前後してトラブルになるケースがあります。ベンダーから「先に着手しても大丈夫」と言われても、交付決定通知を書面で確認してから契約するのが原則です。

「実質無料」「キャッシュバック」の勧誘は不正行為

自己負担分を値引きやキャッシュバックで実質的に無償にする販売方法は、形式や時期を問わず、事務局が不正行為と定義しています。

事務局が不正として挙げている類型は次の5つです。

  • 実質無償・減額・キャッシュバック・紹介料の受け渡し
  • GビズIDの共有などによる代理申請
  • ITツールの未導入や研修の未実施
  • 同一内容で他の補助金と重複して受給すること
  • その他の不適切な行為(従業員数の過少申告など)

発覚した場合は、立入調査、交付決定の取消、補助金の返還請求、IT導入支援事業者の登録取消、事業者名の公表、警察への通報の対象になります。2026年度に入ってからも、4月24日、6月30日、9月10日に支援事業者の登録取消が公表されました。事務局は自主的な返還の受付も行っていますが、その場合も加算金が上乗せされます。

ベンダーを選ぶ際は、事務局の検索でIT導入支援事業者として登録されているかを確認し、契約書に補助金額分の値引きや成功報酬の条項がないかを確かめてください。

効果報告と賃上げ目標の未達は補助金の返還対象

交付を受けた事業者には効果報告の義務があり、賃上げ目標の未達や報告の未提出は補助金の返還対象です。

効果報告は、事業計画期間の開始前(2027年3月から)と、1年度目(2028年4月〜2029年1月)、2年度目(2029年4月〜2030年1月)、3年度目(2030年4月〜2031年1月)に、生産性・賃金・ITツールの継続利用の状況を報告します。

返還額は「補助金額÷3×未達年度以降の年数」で計算します。

未達になった年度 返還の割合 450万円の交付を受けた場合
1年度目 3/3(全額) 450万円
2年度目 2/3 300万円
3年度目 1/3 150万円

付加価値額の年平均成長率が1.5%に達しなかった場合や、天災などのやむを得ない事情がある場合は免除されます。

また、2022年度から2025年度に交付決定を受けた事業者が2026年度に申請する場合は、3年間の事業計画と賃上げ計画の表明が申請要件になりました。過去にIT導入補助金を使ったことがある事業者ほど、申請前に要件の確認が必要です。

加点項目としての賃上げ要件(事業場内最低賃金の引き上げ)とは別の仕組みなので、混同しないよう注意してください。

他の補助金との併用と重複受給の禁止

同じ経費を複数の補助金で受けることは禁止されており、事務局は1つの顧客管理システムでデジタル化・AI導入補助金とものづくり補助金の両方を受給した例を不正として挙げています。

一方で、経費を切り分ければ組み合わせは可能です。ECサイト本体は小規模事業者持続化補助金、受注管理ソフトはデジタル化・AI導入補助金、倉庫の設備は中小企業省力化投資補助金というように、対象経費が重ならない形で計画します。

公募要領は、次の補助金について重複の確認を求めています。

  • ものづくり補助金(第17次公募以降)
  • 持続化補助金(第15回以降)
  • 事業承継・M&A補助金(第8次以降)
  • Go-Tech事業
  • 事業再構築補助金(第12回)
  • 省力化投資補助金(第1回以降)

都道府県の上乗せ補助は、国の補助に自治体が上乗せする設計のため、併用の禁止には当たりません。組み合わせを考える場合は、計画の段階で商工会・商工会議所やIT導入支援事業者に確認してください。

デジタル化・AI導入補助金はECの業務ソフトに活用しよう

ECサイト制作は2026年度も対象外のまま、業務ソフトと通販基幹システムは登録済みなら対象で、要件は厳しくなりました。

ECサイト制作が対象外である根拠は、事務局FAQ通常枠のQ5に明記されています。名称が変わっても、この扱いは変わっていません。

一方で、受注管理・在庫管理・会計・決済・セキュリティのソフトと通販基幹システムは、事務局に登録されたツールであれば通常枠・インボイス枠・セキュリティ対策推進枠で対象になります。検討中のツールが登録されているかは、事務局の検索で確かめてください。

通常枠の交付決定は申請の4割強で、補助金ありきの予算は組まないことが前提です。

通販基幹システムの導入・刷新に補助金を使えるかどうか、費用も含めて相談したい場合は、下記のフォームからお問い合わせください。基幹システムの候補を比較する資料も用意しています。

▶︎「ECサイトに使える補助金に関する相談」はこちらから

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