定期通販やサブスクリプションビジネスの導入を検討する際、どのカートシステムを選ぶべきか悩む事業者は少なくありません。
特に、LTV向上や継続率改善を目指す中で、通常のECカートと定期通販専用カートの違い、必須機能の見極め、料金体系の比較など、検討すべき項目は多岐にわたります。
また、既存のECサイトに定期販売機能を追加するか、最初から専門カートを導入するかの判断も重要です。
そこで本記事では、主要12社の定期通販カートシステムを徹底比較し、初期費用・運用費用の違い、向いている商品、必須機能のチェックポイント、販促・分析機能、システム連携、決済方法など、選定時に押さえるべきポイントを詳しく解説します。
定期通販カートシステムおすすめ一覧
定期通販カートシステム12社を以下の表にまとめました。詳しい特徴や料金体系などは、本記事内で紹介します。
システム名 | 主な特徴 | 料金体系 |
通販マーケッターEight! | ・15年以上のECノウハウ蓄積、年商500億円規模まで対応 ・定期購入機能を標準搭載し、基幹システムとECカートをリアルタイム連携 |
要問合せ |
ecforce | ・1,500社以上が導入する統合コマースプラットフォーム ・99.7%の利用継続率を誇り、販売チャネル構築からデータ統合・分析まで一気通貫で対応 |
要問合せ |
MakeShop | ・GMOグループが提供するECプラットフォームで定期購入はオプション機能として提供 ・Amazon Payに対応し、お届け回数に応じた価格設定が可能 |
初期費用110,000円 年間契約60,000円 |
aishipR | ・20年の歴史と2,000社超の導入実績 ・平均売上128%向上を実現し、月2回の無償バージョンアップで常に最新機能を提供 |
要問合せ |
Shopify定期購買 | ・世界最大級のECプラットフォームで、定期購買機能はアプリで追加 ・多言語・多通貨対応で越境ECに強み |
基本プラン+ アプリ料金 |
W2 Repeat | ・定期通販特化で1,000を超える標準機能を搭載 ・平均売上成長率354%、作業工数90%削減の実績 ・年商100億円規模まで対応 |
要問合せ |
楽楽リピート | ・D2C/単品定期通販”超”特化型 ・700社以上の声を反映し、自社50店舗運営ノウハウを活用 ・データ移行サポートが充実 |
要問合せ |
リピストX | ・定期購入機能とマイページ機能が充実 ・サポート満足度99.8%、サービス継続率98%で、最小限の人的リソースで運営可能 |
要問合せ |
たまごリピート | ・プロ事業者専用D2Cリピート通販システム ・1,000以上の導入実績があり、定期購入に特化したクラウド通販システム |
月額49,800円~ |
侍カート | ・アフィリエイトASPとの連携に特化 ・LPO最適化機能が充実し、成果報酬型プランも選択可能 |
要問合せ |
サブスクストア | ・物販からデジタルコンテンツまで多様なサブスクモデルに対応 ・pause機能など柔軟な料金設定が特徴 |
要問合せ |
カラーミーリピート | ・GMOペパボ提供で「どこでもリピート」機能により既存サイトへの導入が簡単 ・クレジットカード決済が即日利用可能 |
月額10,780円〜 |
※本一覧表で紹介する全システムは、同一の評価基準(機能充実度、料金体系、サポート体制、拡張性)で比較しています。各システムの詳細は各社公式サイトで最新情報をご確認ください。
なお、事業規模や商材により最適なシステムは異なるため、複数社への問い合わせと比較検討を推奨します。
定期通販カートと通常カートの違い
定期通販カートと通常のECカートには、根本的な違いがあります。
定期通販カートは顧客との継続的な関係構築を前提とし、リピート購入を最適化する仕組みが組み込まれています。一方、通常カートは単発購入を基本とした設計になっているのが特徴です。
主な違いを、以下の表にまとめました。
比較項目 | 定期通販カート | 通常カート |
費用 | 初期費用・従量課金が高め | 初期+月額中心 |
機能 | 契約管理・周期管理が充実 | 単発購入機能が中心 |
商品 | 消耗品・サブスク向け | 耐久財・一品物向け |
最近では両方の機能を併せ持つハイブリッド型のカートも増えており、境界線は曖昧になりつつあるのが現状です。
初期費用・運用費用の違い
定期通販カートの初期費用が高額になる最大の要因は、周期設定・解約フロー・通知機能まで詳細な要件定義が必要となるためです。
配送サイクルの管理、解約防止の仕組み、リマインドメールの自動化など、初期設計段階での工数が通常カートと比較して大幅に増加することが一般的です。
定期通販カートの費用構造は、以下のような特徴があります。
- 初期設計の複雑さにより初期費用が高額に(周期・解約・通知まで要件化が必要)
- 月額料金+従量課金(受注数・通知数・API利用数)
- データ出力やトークン移管を含む退出コストも考慮が必要
一方、通常カートの費用構造はシンプルです。
- 単発購入前提で初期設計は比較的軽量
- 料金は初期費用+月額費用が中心
- 従量課金は限定的、移行時はデータエクスポートで対応可能
システム移行コストが初期導入費用の相当額に達することも珍しくありません。特に注意すべきは、見落としがちな従量課金の積み上がりで、月額費用が当初見積もりを大きく上回るケースもあることです。
主な機能の違い
定期通販カートの中核機能は、定期注文の契約情報と配送履歴を管理するシステムで、これにより停止・再開・解約といったステータス変更を正確に記録できます。
顧客は自らマイページにアクセスし、以下の操作を自己完結で行えるため、カスタマーサポートの負荷を大幅に削減できるでしょう。
定期通販カートの主要機能としては、次のようなものがあります。
- 購入回数管理や停止・解約などのステータス遷移を保持
- マイページで定期顧客管理(請求・配送サイクル・割引など)を自己完結
- 与信失敗の自動リトライ・再与信・部分返金と監査ログを標準装備
これに対して、通常カートの主要機能は以下の通りです。
- 単発注文フローと受注・配送・返品の基本機能が中心
- マイページは住所変更・注文履歴・キャンセルが主用途
- 例外処理や監査要件は定期ほど厳密でないケースが多い
定期通販カートは、高機能な分だけ初期設定が複雑になりやすく、特に商品変更機能や同梱ルールの設定には専門知識が必要です。
向いている商品の違い
定期通販カートが最も効果を発揮するのは、リピート周期が読みやすい商材です。これらは消費ペースが一定で、在庫管理や需要予測の精度を高めることができます。
定期通販カートに向いている商品は、以下の通りです。
- 消耗品(健康食品・化粧品・日用品・コーヒー等)でリピート周期が読める商材
- 頒布会・季節便・セットなど継続で価値が上がる商品構成
- 詰め替え対応や商品バリエーション(サイズ・種類)がある商材
一方、通常カートに向いている商品には次のような特徴があります。
- 耐久財・高単価品(家電・家具・一品もの・ギフト等)で購入頻度が低い商材
- 都度選択の楽しさや一点物性が価値の中心となる商材
- キャンペーンや新作投入が都度購入を促すモデルに適合
定期購入に適した商材として「消費サイクルが予測可能」「継続使用で効果を実感できる」などの特徴を持つ商品が挙げられます。
定期通販もできるECシステム
以下の定期通販機能を備えたECシステムは、通常販売と定期販売の両立を目指す事業者にとって理想的な選択肢となります。
- 通販マーケッターEight!
- ecforce
- MakeShop
- aishipR
- Shopify 定期購買
これらのシステムについて、詳しく紹介します。
通販マーケッターEight!
東通メディアが15年以上のECノウハウを蓄積して開発した通販基幹システムです。年商500億円規模まで対応可能で、定期購入機能を標準搭載しています。
- 基幹システムとECカートのリアルタイム連携
- 24時間365日の自動応答BOT機能
- LTV改善率130%UP、定期継続者売上350%UPの実績
- 顧客数・商品数の登録制限なし
- 販促、CRM、業務効率化まで多機能を網羅
受注管理や在庫管理の一元化により、物流プロセスの最適化と業務効率化を実現できます。オプションで他社サービスとの連携も自由に設定できるため、事業成長に合わせた拡張が容易です。
項目 | 詳細 |
料金 | 要問合せ |
サポート体制 | 電話・メールサポート、専属エンジニア対応、オンラインマニュアル完備 |
URL | https://2ma-eight.com |
ecforce
1,500社以上が導入する統合コマースプラットフォームで、99.7%という驚異的な利用継続率を誇っています。カルビー、再春館製薬所、ロート製薬など大手企業から成長中のD2Cブランドまで幅広く利用されています。
- 販売チャネル構築からデータ統合・分析まで一気通貫
- RFM分析による細かなセグメント配信
- 月10-20個の機能アップデート
- CVR改善に特化したA/Bテスト機能
- 豊富なAPI連携(MAツール、CRM、物流システム)
顧客のライフステージに応じた施策が可能で、LP、カート画面、確認画面など、あらゆるページで最適化テストを実施できます。
高機能ゆえに使いこなすまでに時間がかかることと、カスタマイズには別途費用が発生する場合があることに注意が必要です。
項目 | 詳細 |
料金 | 要問合せ |
サポート体制 | 専任カスタマーサクセス、導入サポート、ユーザー限定コミュニティ「ecforce compass」 |
URL | https://ec-force.com/ |
MakeShop
GMOグループが提供する老舗ECプラットフォームで、定期購入はオプション機能として提供されています。業界でも競争力のある価格設定でコストパフォーマンスに優れています。
- 650以上の機能を標準装備
- Amazon Pay対応
- お届け回数に応じた価格設定可能
- 複数の配送サイクル設定
- 業界最安水準のクレジットカード決済手数料
GMOイプシロンとの連携により決済手続きもスムーズで、豊富な決済手段と競争力のある手数料率で利益率改善につながります。
ただし、専門の定期通販カートと比較すると、商品の入れ替えやスキップ機能は限定的で、カスタマイズが必要になる場合があります。
項目 | 詳細 |
料金 | 初期費用110,000円、年間契約60,000円 |
サポート体制 | 電話・メール・チャットサポート、導入サポート |
URL | https://www.makeshop.jp/main/attraction/repeat/ |
aishipR
20年の歴史と2,000社超の導入実績を誇るクラウド型ECサイト構築ASPです。平均売上128%向上という実績を持ち、月2回の無償バージョンアップで常に最新機能を提供しています。
- モバイルファーストのレスポンシブ設計
- 三温度帯管理、のし・ラッピング対応
- ソーシャルギフト機能
- 実店舗との在庫連携・ポイント統合(OMO対応)
- 定期購入の柔軟な管理(サイクル変更、一時休止、再開)
食品EC、ギフト販売、レンタルビジネスなど、業界特有のニーズに対応した機能を豊富に備えています。管理画面も直感的で技術知識不要で運用可能です。
大規模な定期通販事業には、機能的限界がある可能性があります。
項目 | 詳細 |
料金 | 要問合せ |
サポート体制 | 電話・メール・チャットサポート、定期的な機能アップデート |
URL | https://www.aiship.jp/ |
Shopify 定期購買
世界最大級のECプラットフォームで、定期購買機能はアプリとして追加する形式です。日本語対応したアプリで手軽に定期通販を始められます。
- 豊富なアプリエコシステム
- 多言語・多通貨対応(越境EC対応)
- 世界標準のセキュリティ(PCI DSS準拠)
- 豊富なデザインテーマ
- 充実したAPI連携
グローバル展開を視野に入れた事業者には最適な選択肢です。ただし、日本特有の商習慣(後払い・代引き決済など)への対応にはカスタマイズが必要で、アプリごとに月額料金が発生するためコスト管理が重要になります。
項目 | 詳細 |
料金 | 基本プラン+アプリ料金(アプリにより変動) |
サポート体制 | 24時間365日カスタマーサポート、日本語対応あり |
URL | https://apps.shopify.com/huckleberry-subscription?locale=ja |
リピート通販に特化したカートシステム
以下は、定期購入を主軸としたビジネスモデルに最適化されたシステムです。
- W2 Repeat
- 楽楽リピート
- リピストX
- たまごリピート
- 侍カート
- サブスクストア
- カラーミーリピート
これらのシステムについて、詳しく紹介します。
W2 Repeat
国内シェアトップクラスの定期通販専門カートシステムです。1,000を超える標準機能を搭載し、事業立ち上げから年商100億円規模まで対応可能です。
- 平均売上成長率354%、作業工数90%削減の実績
- フォーム一体型LP、ステップメール標準装備
- 自動受注ワークフロー(40分→1分に短縮)
- 多数の外部サービスとの連携実績
- 定期的な勉強会・セミナー開催
LTV最大化のための機能が完全網羅されており、大手企業の導入実績も豊富にあります。
高機能ゆえに初期設定に時間がかかる点と、カスタマイズには専門知識が必要な場合がある点に注意が必要です。
項目 | 詳細 |
料金 | 要問合せ |
サポート体制 | 専任カスタマーサクセスチーム、導入・運用サポート |
URL | https://www.w2solution.co.jp/w2_repeat/ |
楽楽リピート
D2C/単品定期通販に”超”特化したカートシステムです。700社以上のD2C事業者の声を反映し、自社50店舗の運営ノウハウを活用して開発されています。
- ファンマーケティング強化機能でLTV最大化
- 他社カートからの乗り換え率50%、継続率97%
- 同梱物の細やかな対応、LINE連携機能
- パーソナライズ機能による1to1施策
- ITreview Grid Award複数回「Leader」受賞
機能のシンプルさが強みで、本当に必要な機能だけを厳選しています。ただし、事業拡大時には機能不足を感じる可能性があります。
項目 | 詳細 |
料金 | 要問合せ |
サポート体制 | 電話・メール・チャット対応、専任担当者サポート、運用ノウハウ提供 |
URL | https://raku2repeat.com/ |
リピストX
単品通販・D2Cブランドに特化した定期通販カートシステムです。最小限の人的リソースで運営可能な効率的なシステムを提供しています。
- サポート満足度99.8%、サービス継続率98%
- LP一体型フォーム(2クリックで購入完了)
- 確認画面スキップ、チャット形式購入フォーム
- 平均売上成長率426%、CVR平均342%向上
- 最低契約期間の縛りなし
ドラッグ&ドロップでのLP作成、ABテスト標準装備など、新規獲得に強い機能が充実しています。他システムとの連携には制限があり、オプション機能は追加費用が発生します。
項目 | 詳細 |
料金 | 要問合せ |
サポート体制 | 迅速な対応(当日回答率100%)、導入から運用までサポート |
URL | https://rpst.jp/ |
たまごリピート
テモナ株式会社が提供するプロ事業者専用D2Cリピート通販システムです。1,000以上の導入実績があり、2023年から「たまごリピート魂」としてグロースサービスも提供しています。
- 業界別テンプレートで短期間立ち上げ可能
- 薬機法対応チェック機能
- 定期縛りの自動計算機能
- 自動フォロー機能(確認連絡、出荷連絡)
- 運用代行サービスも提供
化粧品・健康食品業界での導入実績が特に豊富です。カスタマイズの自由度は限定的で、デザイン面の自由度もあまり高くない点に注意が必要となります。
項目 | 詳細 |
料金 | 月額49,800円~(ASPプラン) |
サポート体制 | 運用代行サービス、専任担当制、ユーザー会開催 |
URL | https://tamago.temonalab.com/ |
侍カート
アフィリエイト広告との連携に強みを持つ定期通販カートシステムです。広告運用に特化したユニークなシステムとなっています。
- 主要ASPとの連携が標準装備
- LPO最適化機能(ヒートマップ、離脱分析)
- ワンクリックアップセル機能
- 成果報酬型プランも選択可能
- 広告効果測定タグの簡単実装
広告運用重視の事業者に最適ですが、在庫管理や物流連携などのバックエンド機能は限定的です。事業拡大時は別システムとの連携が必要になる可能性があります。
項目 | 詳細 |
料金 | 要問合せ(成果報酬型プランあり) |
サポート体制 | 広告運用サポート、LPO改善提案 |
URL | https://marketing.f-i-d.jp/service02/ |
サブスクストア
テモナ株式会社提供のサブスクリプションビジネス特化プラットフォームです。物販からデジタルコンテンツまで幅広いビジネスモデルに対応しています。
- pause(一時停止)機能で解約防止
- 柔軟な料金設定(初回・継続・段階割引)
- 選択型・交換型・体験型サブスク対応
- SNSログイン、LINEメッセージ機能
- 「たまごリピート」の後継サービス
新しいタイプのサブスクリプションモデルにも対応可能です。日本独自の商習慣への対応は発展途上で、カスタマイズが必要な場合があります。
項目 | 詳細 |
料金 | 要問合せ |
サポート体制 | テモナのノウハウを活用したサポート |
URL | https://subscription-store.com/ |
カラーミーリピート
GMOペパボが提供する定期通販専門カートシステムです。手頃な価格設定で小規模事業者でも導入しやすいシステムとなっています。
- 「どこでもリピート」機能で既存サイトへ簡単導入
- クレジットカード決済即日利用可能
- シンプルで使いやすいインターフェース
- 豊富なデザインテンプレート
- GMOグループのインフラ活用可能
定期通販の基本機能を網羅しつつ操作性を重視しています。高度な分析機能は限定的で、データドリブンな運用には外部ツール連携が必要です。
項目 | 詳細 |
料金 | 月額10,780円(決済手数料3.4%+30円/1件) |
サポート体制 | GMOペパボのサポート体制、初心者向けサポート充実 |
URL | https://colorme-repeat.jp/ |
定期通販カートシステムの選び方
定期通販カートシステムの選定は、事業の成否を左右する重要な意思決定です。単品通販の立ち上げから拡大期まで、各フェーズで必要となる機能を見据えた選定が求められます。
以下の選定ポイントを中心に、比較検討することが大切です。
- 必須機能の選定や有無を判断する
- 販促と分析の機能で比較する
- 自社システムとの連携と拡張性を見る
- 決済連携を見極める
まずは必須機能の有無を判断し、次に売上拡大に伴い必要になる機能を判断することが、基本的なアプローチとなるでしょう。
必須機能の選定や有無を判断する
定期通販カートの必須機能として最初に確認すべきは、定期顧客管理(請求・配送サイクル、割引など)が標準で揃っているかという点です。これらの機能が顧客のマイページから簡単に操作できることで、カスタマーサポートへの問い合わせを大幅に削減できます。
配送サイクルの変更は、顧客の消費ペースに合わせた柔軟な対応を可能にし、在庫の無駄を防ぐ重要な機能となるでしょう。
次に重要なのは、最短手順での解約を可能にしつつ、最低継続回数や初回割引の条件判定を自動化できるかという点です。法規制により解約のハードルを上げることはできませんが、適切な解約防止施策と組み合わせることで、継続率の改善が期待できます。
実際、これらの基本機能の実装レベルの差が、日々の運用効率を大きく左右します。例えば、次回配送日の変更一つとっても、カレンダーUIで直感的に操作できるシステムと、プルダウンで選択するシステムでは、顧客満足度に差が出てくるからです。
販促と分析の機能で比較する
アップセル・クロスセル機能は、定期通販の収益性を左右する重要なポイントです。顧客の購買タイミングに応じた施策が実装できるかを、以下の観点から確認しましょう。
【アップセル/クロスセル機能】
- 購入前後でのバンドル提案
- 同梱での追加商品提案
- チェックアウト内での追加購入促進
- 購入履歴・閲覧履歴に基づく自動レコメンド
【施策実装とLP/フォーム機能】
- LP制作の内製化が可能か
- 申込フォームの最適化機能
- ABテストの実施しやすさ
- タグ管理・CAPI(Conversions API)対応
【分析基盤の充実度】
- 継続率分析・解約理由の可視化
- RFM分析による顧客セグメンテーション
- セグメント配信(メール/LINE/プッシュ)
- KPIの自動可視化とレポート機能
自社のマーケティングチームのスキルレベルに応じた機能選定が重要となります。
自社システムとの連携と拡張性を見る
基幹連携の充実度は、業務効率化の観点から極めて重要な評価ポイントです。既存システムとの統合性を、以下の観点から確認しましょう。
【基幹システムとの連携】
- WMS(倉庫管理システム)へのAPI連携
- OMS(注文管理システム)との自動同期
- 会計システムへのデータ転送
- CRM/MA/CSツールとの顧客データ連携
【Webhookの粒度】
- 注文確定・定期注文の通知
- 決済成功/失敗の通知
- 出荷完了の通知
- 解約・周期変更などの顧客アクション通知
【データ活用】
- 契約データ・回次データ・イベントログのエクスポート形式
- CSV、JSON、XMLなど各種形式への対応
- データ更新頻度(リアルタイム/日次/週次)
- 過去データの保持期間とバックアップ体制
過度なカスタマイズは保守性を損なうリスクもあるため、標準機能でカバーできる範囲を見極めることが重要です。
決済連携を見極める
決済連携の選定では、現状の決済種類に合わせて、手数料や他に今後も見据えた決済種類も拡張できるか判断することが重要です。決済手段の選定は、コンバージョン率と収益性の両面から慎重に検討する必要があります。
クレジットカード決済の手数料は決済代行会社や取引量により異なりますが、業界標準的な料率が適用されることが一般的です。後払い決済は新規顧客獲得に有効ですが、手数料が高めに設定されるため、LTVとのバランスを慎重に検討しましょう。
将来的な拡張性も重要な評価ポイントです。今後導入を検討している決済種類への対応可能性を確認しましょう。特に若年層をターゲットとする場合、決済手段の多様性がコンバージョン率に直接影響します。
実際、決済手段を増やすことでコンバージョン率が向上したという事例は業界で広く報告されています。
定期通販でビジネスの安定と成長を実現
定期通販ビジネスを導入することで、事業の安定性と成長性を同時に実現できます。
最大のメリットは、売上の予測可能性が飛躍的に高まることでしょう。継続顧客数と継続率から将来の収益を正確に見通せるため、在庫投資や広告予算の配分、さらには人材採用まで、確信を持って意思決定できるようになります。
また、顧客との継続的な関係性により、購買パターンや嗜好性など深い顧客理解が可能になります。このデータは新商品開発やサービス改善の貴重な資産となり、競合他社との差別化要因にもなるでしょう。定期的な接点を通じて、単なる売買関係を超えた信頼関係を構築できます。
さらに重要なのは、小さな改善の積み重ねが大きな成果につながることです。継続率を1%改善するだけでも、長期的には莫大な収益向上をもたらします。解約理由を分析し、商品やサービスを継続的に改良することで、LTVの向上を恒常的な仕組みとして定着させられます。
ただし、システム導入自体が成功を約束するわけではありません。顧客満足度を最優先に考え、選定したカートシステムを活用しながら絶え間ない改善を続けることこそが、定期通販ビジネス成功の鍵となるでしょう。