ECサイトを始める際、ECサイト構築費用の見極めはとても重要なポイントです。費用対効果を高めるためにも、初期費用や運用コストはできるだけ抑えられるのが理想でしょう。
しかし、ECサイトの立ち上げや運営にかかる費用は、サイト構築方法、求める機能などによって大きく異なります。
そこで本記事では、ECサイトの構築方法別に「構築費用」「諸費用」の相場や目安、構築方法別のメリットやデメリット、さらに費用対効果を高めるポイントなどを解説します。
ECサイトの構築方法別の費用・相場
ECサイトを構築する際の費用は、選択する構築方法やサイトの規模、求める機能によって大きく変動します。
構築方法別でのかかる費用の一覧表です。
構築方法 | 構築費用(目安) | 特徴 |
モール型 | 10万円以下 | 低コストで始められるが、カスタマイズに制限あり |
ASP型 | 10万円~100万円 | 比較的安価で導入しやすい一方、機能面でのカスタマイズは制限される |
オープンソース型 | 100万円~500万円 | 初期費用を抑えられるが、プログラミングの専門知識が必要となる |
パッケージ型 | 500万円以上 | 高度なカスタマイズが可能だが、初期費用が高額になる |
フルスクラッチ | 数千万円以上 | 完全にカスタマイズ可能だが、開発費用は最も高い |
いずれの構築方法でも、初期費用に加え、制作会社に依頼した場合のサイト制作費用、毎月のECカート利用料、運営・保守の費用が別途発生します。月額費用を合わせた諸費用も見積もることが重要です。
ここからは構築方法別でより詳細に解説していきます。
モール型ECサイトの構築費用・料金相場
モール型ECサイトとは、Amazon、楽天市場、PayPayモール(旧Yahoo!ショッピング)など、既存の大手プラットフォームを利用したECサイト運用であり、独自ドメインの取得やサイトの一からの構築が不要になり、比較的短期間と少ない初期投資でECサイトを開設できます。
モール型ECサイトの構築には、出店者登録料、システム利用に係る月額固定費用、売上に応じた手数料などの費用がかかります。
初期費用は「10万円以下」が相場とされており、ランニングコストも0円から10万円以下と、ECサイトを立ち上げる際の経済的負担を大きく軽減できます。
低コストでオンライン販売を開始したい場合、初めてECサイトを運営する場合、におすすめです。
また、大手モールを利用することで、そのプラットフォームが持つ豊富な顧客基盤や信頼性を活用できるため、初期の集客にも有利です。
ただし、モール内での販売となるため、他の出店者との差別化が課題となります。
より詳細なメリットデメリットは後ほど解説します。
ASP型ECサイトの構築費用・料金相場
ASP型ECサイトとはは、ECサイト作成に必要な根幹システムを利用し、ブラウザ上で簡単にECサイトを構築できるサービスです。
初心者や小規模から中規模のビジネスに適しており、「BASE」「カラーミーショップ」「Shopify」「ショップサーブ」などがあります。
費用相場は、サービスによって異なりますが、一般的には初期費用として「10万円から100万円程度」であり、ランニングコストも数万円程度です。
初期費用には「サイトの構築費用」や「システム利用料」が含まれます。
ASP型の最大の魅力は、サーバーの準備や複雑な設定が不要で、テンプレートを利用して比較的短時間でECサイトを立ち上げられる点です。
ただし、テンプレートのカスタマイズ、独自ドメインの利用、追加機能の導入などを行う場合は、それに応じて費用が上乗せされます。
オープンソース型ECサイトの構築費用・料金相場
オープンソース型ECサイトの構築は、無料で公開されているプログラムソースコードを利用して、自社でカスタマイズ可能なECサイトを構築する方法です。
WEB制作のスキルを持つ企業や、独自性の高いECサイトを求める場合に適しており、代表的なオープンソースECプラットフォームには「EC-CUBE」や「Magento」があります。
オープンソース自体は無料で利用できますが、サイトの制作からシステムのカスタマイズ、導入支援を外部の開発会社に依頼する場合、その費用は「100万円から500万円程度」が相場となります。
ランニングコストでは、システム利用料は基本かからないですが、企業によっては、システムのアップデート費やセキュリティ対策費用に月10万円程度がかかることがあります。
メリットとして、自由度が高い反面、システムのカスタマイズや維持管理には専門的な技術が必要になります。
また、公式サポートが限られているため、問題が発生した際には自己解決する能力も必要です。
パッケージ型ECサイトの構築費用・料金相場
パッケージ型ECサイトの構築は、ECサイト運営に必要な一通りの機能を備えたソフトウェアを使用する方法です。
パッケージ型ECサイトの構築には「500万円以上」の初期費用が見込まれ、基本的なパッケージの導入費用のほか、カスタマイズや追加機能の開発費用、サーバーやドメインなどのインフラ費用が含まれるケースが多いです。
また、ランニングコストは、システム利用料などを含めて10万円程度かかるケースが多いため、年商が数千万円以上の中規模および大規模のECサイト構築に最適とされています。
主なパッケージ型の製品には「通販マーケッターEight!」や「ecbeing」などがあり、これらは自社の要件に合わせてカスタマイズし、オリジナルのECサイトを構築することが可能です。
また、近年ではクラウドでECパッケージを提供するクラウドECの普及により、より柔軟かつ効率的なECサイト構築が可能になっています。
フルスクラッチ型ECサイトの構築費用・料金相場
フルスクラッチ型ECサイトは、既存のプログラムやソフトウェアを一切使用せず、ゼロから全てオリジナルのシステムを構築します。
フルスクラッチには、高度な技術力と、開発にかかる費用に大きく投資できる環境が必要です。
少なくとも「数千万円以上」の初期費用が必要となり、場合によっては数億円を超えることもあります。
また、ランニングコストは50万円〜100万円程度ほどが目安になります。
フルスクラッチ型は、最も自由度が高く、幅広い要件を満たすことができますが、同時に最も手間とコストがかかります。
そのため、フルスクラッチ型は、大規模な企業や、他社とは異なる独自の販売形態を求める企業に適しています。
フルスクラッチでのECサイト構築は、自社のエンジニアを活用しながら、技術的な制約を受けずに完全にオリジナルのECサイトを構築したい企業にとって有力な選択肢です。
どれがおすすめ?ECサイト各種構築方法のメリット・デメリット
構築手法 | メリット | デメリット |
モール型 | ・集客力が高い ・ECサイト構築の手間が省ける ・初期投資が少なくて済む |
・手数料負担が大きく利益を圧迫する可能性がある ・価格競争が激しく顧客情報の活用が難しい ・自社ブランディングに制約がある ・モールの規約や規制に縛られる |
ASP型 | ・低コストで手軽に構築できる ・早期にオープンができる ・セキュリティ対策や決済機能がASP側で提供されている |
・デザインや機能のカスタマイズ性が低く ・外部システム連携や分析に制限がある ・サイトの成長に伴い移行を余儀なくされる ・機能アップデートがASP提供会社に依存する |
オープンソース型 | ・低コストでスタートできる ・デザインや機能をカスタマイズしやすい |
・プログラミングなどの高度な専門知識が必要となる ・セキュリティリスクが高い ・トラブル時の対応は自己責任となる ・アップデートや機能追加などの継続的な開発が必要になる |
パッケージ型 | ・高度なカスタマイズが可能で拡張性に富む ・セキュリティ面での安全性が高い |
・初期費用が高額になりやすい ・ベンダーに依存してしまう ・複雑なシステムで専門知識が必要になる ・カスタマイズや機能追加に時間とコストがかかる |
フルスクラッチ型 | ・完全にオリジナルでカスタマイズが可能である ・スムーズにメンテナンスや改修が実施できる ・拡張性が高く、自社のビジネスプロセスやシステムとの連携が容易である |
・開発や運用コストが高額になる ・開発期間が長期化する ・専門的な保守運用が必要となる ・ベンダー依存のリスクがある ・開発者の離職などによる技術継承の問題が生じる |
これらのメリットおよびデメリットについて、詳しく紹介します。
ECモール
モール型ECサイトには、集客力が高い、ECサイト構築の手間が省ける、初期投資が少なくて済む、などのメリットがあります。
一方で、手数料負担が大きく利益を圧迫する可能性や、価格競争が激しく顧客情報の活用が難しい、自社ブランディングに制約がある、モールの規約や規制に縛られるなどのデメリットも存在します。
【メリット】
楽天やAmazonのような有名なモール型ECサイトに出店することで、その高い知名度と集客力を活用し、迅速に多くのお客様に商品を販売できる大きなメリットがあります。
この集客力は、新規ビジネスや小規模事業者にとって、非常に価値が高いです。
また、モール型ECサイトは出店者向けにECサイト構築のテンプレートやシステムが整備されており、専門的なWebサイト構築の知識がなくても、比較的簡単に出店が可能です。これにより、ECサイト運営の初心者でも素早くスタートさせることができます。
さらに、インターネット上の仮想ショッピングモールへの出店となるため、大掛かりな準備や初期投資を抑えつつ始めることが可能です。
決済システムやセキュリティ対策などのインフラがモール側で整備されており、モール側が提供する充実したサポートを利用できるため、出店者の負担が大幅に軽減されます。
【デメリット】
モール型ECサイトには多くの課金ポイントが設けられており、運営するにはさまざまな費用が発生します。
これには月額利用料や売上に応じた手数料などが含まれ、これらの費用が収益性を圧迫する可能性があります。
モール内での価格競争が非常に激しい点もデメリットの一つです。
多数の出店者が同じプラットフォーム内で商品を販売しているため、類似商品間での価格競争が避けられません。
また、モール型ECサイトでは、出店者が顧客情報に直接アクセスすることができないため、顧客情報をマーケティング活動に活用することが難しいというデメリットがあります。
顧客との直接的な関係構築が困難であるため、リピート顧客の獲得や顧客ロイヤルティの向上に制限が生じます。
ASP型ECサイト
ASP型ECサイトには、低コストで手軽に構築でき、早期オープンが可能で、セキュリティ対策や決済機能などがASP側で提供されているというメリットがあります。
一方で、デザインや機能のカスタマイズ性が低く、外部システム連携や分析に制限があり、成長に伴い移行を余儀なくされる、さらにASPサービスの継続や機能アップデートがASP提供会社に依存するというデメリットも存在します。
【メリット】
ECサイトに必要なシステムや機能がプラットフォームに備わっており、自社でサーバーを用意する必要もありません。そのため、専門的な知識や技術がなくても手軽に始めることができます。
また、無料サービスと有料サービスがあり、コストを抑えながら導入のハードルを低くすることが可能です。
さらに、プラットフォーム上に必要な機能やシステムが用意されているため、一からサイトを作るよりも構築期間が短く、早期にサイトをオープンして成果を上げられます。
使用方法やQ&A、テクニックなどの情報も豊富にあり、使用に困った際には簡単に情報を収集することができます。
【デメリット】
ASP型ECサイトの最大のデメリットは、カスタマイズ性の低さです。
デザインは決められたテンプレートの中から選ぶことが多いため、完全オリジナルのデザインは実現が難しいことが多いです。
また、機能面においても、ASP側で提供される機能は限定的であり、自社ユーザーのニーズに合わせたカスタマイズが困難です。
サイトの成長に伴い、より高度な機能やカスタマイズが必要になった場合、他の構築手法への移行を余儀なくされる可能性があります。
サービス提供会社の都合によって機能や仕様が変更される可能性もあり、自社の運営方針に影響が出る場合があるため注意が必要です。
オープンソース型ECサイト
オープンソース型ECサイトは、無料で低コストでスタートでき、デザイン・機能をカスタマイズしやすく、コミュニティによるサポートが得られる可能性があるというメリットがあります。
一方で、プログラミングなどの高度な専門知識が必要で、セキュリティリスクが高く、トラブル時の対応は自己責任となり、さらにアップデートや機能追加などの継続的な開発が必要になるというデメリットがあります。
【メリット】
この構築方法による最大のメリットは、コストを大幅に抑えることができる点にあります。オープンソース自体は無料で利用できるため、初期費用をかなり低く抑えることが可能です。
また、サイトデザインの幅が広く、思い通りにカスタマイズすることができ、自社のブランドイメージに合わせた独自のECサイトを構築することが可能です。
拡張機能が豊富であることも大きなメリットで、多様なプラグインやモジュールが利用可能であり、これらを活用することで、ECサイトの機能を柔軟に拡張することができます。
ソースコードが公開されているため、自社の開発者が自由に機能を追加・改善することも可能です。
【デメリット】
オープンソースは無償で利用できるソースコードを基にサイトを構築するため、初期費用を抑えられる一方で、サイトのカスタマイズや運用には高度な技術力が求められます。
社内にシステムやセキュリティに精通した専門的な人材がいない場合、外部の専門家に依頼する必要があり、結果としてコストが増加する可能性があります。
また、オープンソースソフトウェアはその性質上、セキュリティの脆弱性が発見されやすく、定期的なアップデートや対策が必要です。
これを怠ると、ハッキングや情報漏洩のリスクにさらされることになり、企業にとって重大な損害をもたらす可能性があります。
さらに、ソースコードが公開されているため、悪意のある第三者によってコードの脆弱性を突かれるリスクも存在します。
オープンソース型ECサイトでは、サイトに何らかのトラブルや障害が発生した場合、公式のサポートを受けることが難しく、問題解決のための対応はすべて自己責任となります。
これは、特に小規模な企業や技術力に自信がない事業者にとって大きな負担となります。
パッケージ型ECサイト
パッケージ型ECサイトには、高度なカスタマイズが可能で拡張性に富み、セキュリティ面での安全性が高いというメリットがあります。
一方で、初期費用が高額になること、ベンダーに依存してしまうこと、複雑なシステムで専門知識が必要になること、さらにカスタマイズや機能追加に時間とコストがかかるといったデメリットもあります。
【メリット】
パッケージ型ECサイトは、ゼロからシステムを構築する必要がないため、開発期間とコストを大幅に削減できます。
商品管理、在庫管理、売上管理などの基本的な機能から売上を上げるための機能も標準で装備されており、自社のサーバーにインストールするだけでECサイトを始められます。
また、拡張性が高く柔軟にカスタマイズできる点も大きなメリットです。
パッケージには必要な機能が標準装備されていますが、さまざまなニーズに対応するために「カスタマイズ前提」として作られているため、越境ECやオムニチャネルの実現といった特殊な要件にも対応できます。
自社内にプログラマーなどの開発要員がいない場合でも、柔軟なサイト構築が行える点も魅力的です。技術的な知識が限られている企業でも、効率的にECサイトを構築し、運営を開始することが可能になります。
また、開発ベンダーがソースコードを開示していないため、ウイルス被害やハッキングによる情報漏えいのリスクを大幅に軽減できます。
【デメリット】
パッケージ型ECサイトは、導入後の定期的なメンテナンスやアップデートが欠かせません。
定期的なメンテナンス、アップデートが必須となるため、それに対する時間やコストもかかります。
特に、アップデートには新機能の追加やセキュリティパッチの適用が含まれるため、これらの作業には専門的な知識が必要になる場合があります。
また、自社でサーバーを用意する必要があることも、パッケージ型ECサイトのデメリットの一つです。
これには、サーバーの購入費用だけでなく、運用や保守に関わるコストも含まれます。サーバーの管理には専門的な技術が必要であり、大きな負担となることもあります。
パッケージ型ECサイトを長期的に使用していると、ベンダーロックイン(他のベンダーへの乗り換え困難)のリスクが生じます。
システムに依存した運用を続けることで、将来的にシステムを変更する際に大きな障壁となる可能性もあるでしょう。
フルスクラッチ型ECサイト
フルスクラッチ型ECサイトには、完全にオリジナルでカスタマイズ可能なデザイン・機能、スムーズなメンテナンス・改修、高い拡張性、自社のビジネスプロセスやシステムとの連携が容易であるなどのメリットがあります。
一方で、開発・運用コストが高額になる、開発期間が長期化する、専門的な保守運用が必要となる、ベンダー依存のリスクがある、さらに開発者の離職などによる技術継承の問題が生じるリスクがあるといったデメリットも存在します。
【メリット】
フルスクラッチでのECサイト構築は、デザイン面でも機能面でも、完全にオリジナルなサイトを「自由に作ることができる」という最大のメリットがあります。
ブランドのイメージやターゲットとなるユーザー層に合わせて、商品の表示方法やユーザーレビューの見せ方など、サイトの細部に至るまでを自由に設計することが可能です。
フルスクラッチ開発のもう一つの大きなメリットは、メンテナンスや改修がスピーディーに行えることです。
ソースコードを社内で完全に把握しており、サーバーも自社で管理しているため、予期せぬエラーやトラブルが発生した際にも迅速に対応することができます。
フルスクラッチで構築されたECサイトは、外部ツールとの連携が自由にでき、拡張性が非常に高いというメリットもあります。
既存のシステムや販売管理用システムとの自由な連携により、ビジネスの拡大や多様化に柔軟に対応することが可能になります。
【デメリット】
最大のデメリットは、構築や運用にかかる費用が非常に高いことです。
完全オリジナルのサイトをゼロから開発するため、開発費用だけでなく、運用費用も含めて数千万円以上になることが一般的で、場合によっては数億円規模になることもあります。
フルスクラッチ開発は、要件定義から設計、プログラミング、テスト、リリースまでの全工程を一から行うため、半年から数年の長期間を要することが一般的です。
さらに、フルスクラッチで構築されたECサイトは、保守運用が煩雑になるというデメリットがあります。
また、市場の変化や顧客ニーズに合わせて、自社で継続的に改善を行う必要があります。
一度選択した開発ベンダーを変更することが難しいというデメリットもあります。
開発の過程で蓄積されるノウハウやデータは、特定のベンダーに依存することが多く、他のベンダーに乗り換える際には再び大規模な投資が必要になることがあります。
ECサイト構築の費用が構築方法別で変わる理由
ECサイト構築の費用は、選択するカートシステムの種類によって大きく異なります。
この違いは、各システムが提供する機能の範囲、セキュリティと信頼性、サポート範囲、インフラの耐久性、カスタマイズの自由度など、多岐にわたる要因に基づいています。
構築手法別で比較してみましょう。
【無料ASP】
無料ASPは下記理由から、価格を抑えてECサイトを構築することができます。
- デザインはテンプレートを使用でき、ゼロから制作する必要がない
- インターネット(ブラウザ)上にあるシステムを使用できる
- ECに必要な機能が必要最低限しか搭載されていない
【有料ASP】
一方で有料ASPはデザインテンプレートやブラウザ上にあるシステムを使用できますが、無料ASPよりもEC運営に必要な機能が多いため、システム利用料が発生します。
【オープンソース】
次にオープンソースでは、ソースコードが公開されているため、無償でEC構築システムを利用できますが、デザイン制作や機能の開発・追加に制作工数や費用がかかるため、有料ASPよりも費用は高くなることが多いです。
【パッケージ】
パッケージ型では、EC運営に必要な機能が一式搭載されているほか、カスタマイズ性が高く、独自機能の開発・追加が可能です。また、インフラの耐久性も高く、強固なセキュリティ対策がされているため、有料ASP型よりも構築費用が高くなります。
【スクラッチ】
最後にスクラッチでは、ASPやパッケージ型では標準で搭載されている機能も開発する必要があるなど、ゼロからオリジナルのシステムを開発するため、どの手法よりも構築費用は高くなってしまいます。
また、各社の見積もりで金額に大きな差が生じる理由は、利用したい機能がシステムごとに標準機能なのか追加オプションなのかで、金額に差が生じてしまうからです。
機能が標準装備されているか追加オプションが必要かによっても、最終的なコストに差が出るため、事前にしっかりと確認しておきましょう。
ECサイト構築時に費用が発生するその他項目
ECサイト構築時に必要となる諸費用には、他にも以下のものがあります。
レンタルサーバー | ・規模やトラフィック量に応じて変わる ・利用するECカートシステムによっては必要がない場合もある |
ドメイン利用料 | ・目安としては年間500円〜6,000円程度 ・人気ドメイン(.co.jpなど)は高くなる場合がある |
サイト制作費用 | ・テンプレートを使用すれば無料で制作することができるが、目安としては10万円〜300万円程度 ・スクラッチ型や、作成するページ数やデザイン性によってはそれ以上になることもある |
ECカートシステム利用料 | ・利用するECカートシステムによって、費用が大きく異なる ・初期費用:無料あるいは、3万円〜300万円 ・月額費用:無料あるいは、3万円〜15万円 |
ECカートシステムの従量課金 | ・商品1点購入するごとに約20円〜30円が必要 |
決済代行サービスの利用料 | ・クレジットカード決済や後払い決済などを利用する際にかかる ・一般的に初期費用や月額費用は無料が多い ・初期費用:無料 ・月額費用:無料 ・手数料 :3%〜5% |
物流倉庫の委託費用 | ・基本料金:2万円〜5万円 ・梱包費用:150円〜300円/個 |
SSL証明書費用 | ・年間料金:無料あるいは、1万円〜10万円 |
マーケティング費用 | ・企業によって金額に差がある ・目安としては月商の20%〜30% |
外部システムとの連携費用 | ・ECカートシステムと連携させたい外部システムがある場合は、連携する際に費用が発生する 例)ECモールと自社ecサイトの在庫情報を連携するツールなど |
ECサイトを成功させるためには、これらのランニングコストを適切に管理し、効率的に運営することが重要です。
ECサイト構築の費用対効果を高めるポイント
費用対効果とは、投資した金額に対してどれだけのリターン(収益)が得られたかを示す指標のことで、ECサイト構築の費用対効果を高めるためには、適切な運営戦略と効率的な投資が必要です。
ECサイト構築の初期費用は高額になることがありますが、それに見合う収益が見込めるかどうかを冷静に判断する必要があります。
限られたリソースの中で最大の利益を上げるためには、以下のポイントに注意して計画を立てることが重要です。
- KPIの設定
- 競合サイトの調査と分析
- ターゲットの明確化
- コンバージョンの改善
- 顧客単価のアップ
また、ECサイトを運営する際に重要となるのは、戦略的に計画を立て、定期的に成果を分析し、必要に応じて戦略を調整することです。
KPIの設定
ECサイト構築の費用対効果を高めるためには、KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)の設定が不可欠です。
KPIの設定において重要となるのは、売上アップや利益率アップを見込めるような「具体的な指標」を選ぶことです。
たとえば「月間売上」「購入数」「ページ訪問者数」「購入割合(CVR)」「客単価」などが挙げられます。他にも 「リピート購入率」なども重要なKPIとなります。
これらの指標を定めることで、ECサイトのパフォーマンスを多角的に測定し、改善点を明確にすることが可能です。
また、KPIをチーム全体で共有することで、目標に対する共通認識を持ち、団結力を高めることもでき、ECサイトの運営をより効率的に進めることができるでしょう。
競合サイトの調査と分析
競合サイトの調査と分析も、費用対効果を高めるために欠かせません。
競合サイトを調査して分析すれば、顧客ニーズ、競合商品の品質、競合サイトの情報などを深く理解することができます。
具体的には、レビュー調査、購入調査、サイト全体調査などを行うことで、自社サイトの強みや弱みを客観的に把握し、改善策の立案が可能になります。
【顧客のニーズを知る】
顧客のレビューを分析することで、顧客が何に対して喜んでいるか、どのような点に不満を感じているかを把握できます。
これにより、顧客満足度を高めるための施策を考えることができます。
【競合商品の品質を知る】
競合の商品を実際に購入し、その品質を評価することで、自社商品のポジショニングを見直すことができます。
また、競合が提供しているサービスの質を理解することで、自社サービスの改善点を見つけ出すことが可能です。
【競合のECサイト情報を把握する】
競合のECサイトを徹底的に分析することで、そのサイト設計やユーザー体験、販売戦略などを理解することができます。これにより、自社サイトの改善点や差別化ポイントを見つけることができます。
競合サイトのSEO戦略、ソーシャルメディア活用状況、広告戦略なども分析し、自社の施策に反映することが有効です。
ターゲットの明確化
費用対効果を高めるためには、ターゲットの明確化が非常に重要です。
適切なターゲット設定を行わないと、広告費をかけても売り上げが伸び悩む原因となります。
ターゲットの明確化には、候補となる対象像をいくつかピックアップし、年齢や性別、居住地などの属性ごとに顧客をグループ分けします。
このプロセスを通じて、ターゲット候補を網羅的に把握し、より的確にターゲティングすることが可能になります。
ターゲットが明確であれば、そのニーズに合わせた商品の提供やマーケティング施策を行うことができ、結果として売り上げの向上につながります。
また、ターゲットに合わせた広告出稿を行うことで、広告の効率性を高め、広告費の無駄遣いを防ぐことができます。
過去の顧客データを分析することで、実際の購買行動に基づいたターゲティングを行うことも可能です。
コンバージョン率の改善
ECサイトのコンバージョン率向上は、サイトの収益性を高める上で非常に重要です。
コンバージョン率の改善には、サイトまでの導線の見直し、サイトデザインの最適化、といったことが効果的です。
トップページのデザインやコンテンツ、導線の最適化は、ユーザーのサイト内での行動を促し、購入につなげるために重要な役割を果たします。
また、モバイル端末からのアクセスに最適化されたサイト設計は、現代のECサイト運営において欠かせない要素です。
入力や登録フォームの最適化も、ユーザーがスムーズに購入プロセスを完了できるようにするために重要です。
さらに、商品画像を豊富に用意し、利用シーンをイメージしやすくすることで、ユーザーの購入意欲を高めることができます。
おすすめ商品の表示は、ユーザーに対して関連商品や興味を引く商品を提案し、サイト内での滞在時間を延ばし、購入機会を増やす効果があります。
決済方法の多様化も、ユーザーが好みの支払い方法を選べるようにすることで、購入のハードルを下げることにつながります。
顧客単価のアップ
コンバージョン数が同じでも、顧客単価が高いほど売上は増加します。これは費用対効果を高めるために重要な考え方です。
顧客単価を高めるためには、まとめ買いのキャンペーンや関連商品のサジェストが有効です。
商品を見たり、買い物カゴに入れた際に「関連商品」「おすすめ商品」を表示することで、顧客が追加で購入する可能性が高まります。
また、2つ以上の商品を購入すると割引が適用されるキャンペーンを実施することも、顧客単価を向上させる効果的な方法です。
同じテーマの様々な商品をセットにして販売することは、顧客にとっても購入しやすく、また販売側にとっても売上の向上につながります。
さらに、優良顧客への特別なキャンペーンを行うことで、リピート購入を促し、顧客単価の向上を図ることができます。
ECサイトの構築費用を抑えるには
ECサイトの構築費用を抑えるためには、いくつか重要なポイントがあります。
まず、標準機能でカバーできる範囲が広いシステムを選択することが重要で、カスタマイズにかかる追加費用を抑えることができます。
また、オープンソースのECシステムを活用すれば、ライセンス費用を抑えることも可能です。
ただし、カスタマイズや運用にかかる費用は別途考慮する必要があります。
外部に構築依頼をする際は、詳細な要望を伝えることで、見積もりの精度を上げ、予期せぬ追加費用を避けることができます。
複数の見積もりを取って比較検討することも、コストを抑える上で有効です。
また、全ての機能を一度に実装するのではなく、優先度の高い機能から段階的に追加することで、初期費用を抑えることができます。
実際の運用を通じて必要な機能を見極めることで、無駄な投資を避けることも可能です。
初期見積もりの費用だけでなく、長期的なランニングコストの考慮も大切なポイントになります。
ランニングコストを含めた総コストで判断しましょう。
まとめ ECサイトを構築する前にやっておきたいこと
ECサイトを構築する前には、ECサイトの目的や予算を明確にしておくことが重要です。
目的を明確にすることで「サイトの方向性」が定まり、予算を明確にすることで「実現可能な範囲内」での計画が立てられます。
また、ターゲット顧客を明確にすることで「サイトの設計」や「マーケティング戦略」を適切に立てることができます。
また、プラットフォームの種類と特徴を理解しておくことも大切です。
ASP、オープンソース、パッケージ、クラウドEC、フルスクラッチなど、各プラットフォームにはそれぞれ特徴があり、費用の相場も異なります。これらの違いや特徴を理解することで、最適なプラットフォームを選択できます。
制作を依頼する場合は、企業規模だけでなく、ECサイトのオープン時期や価格、デザイン、機能など、自社が必要とする条件を満たしているかを基準に選ぶことが大切です。
見積りを取って詳細を確認しながら、最終的に依頼する会社を決定しましょう。
通販マーケッターEight!は、多数の導入支援をしており、業界最多水準の機能を搭載し、バックエンド機能も使う人のことを考えて開発されています。
これからECサイトを始めたい企業、ECサイト構築を検討している企業は、機能もサポートも充実している通販マーケッターEihgt!をおすすめします。
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