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ECサイト運営では、商品登録や在庫管理、カスタマーサポートなど、日々の業務負担の増加によって売上が頭打ちになってしまうケースもあります。

また、社内リソースの不足や専門知識の欠如により、売上拡大のチャンスを逃している企業も少なくありません。

そこで注目されているのが、EC業務の外注化です。

本記事では、EC外注で委託できる9つの業務を詳しく解説するとともに、単発外注とBPOの違い、失敗しない外注先の選び方、セキュリティリスクへの対策など、EC外注を成功させるための実践的な知識をお伝えします。

EC外注とは?

EC外注とは?

EC外注とは、自社のECサイト運営において不足する専門知識やリソースを補完するため、特定の業務を第三者企業に委託する経営手法です。

商品登録や在庫管理といった部分的な作業から、フルフィルメント全体まで、委託範囲を柔軟に設定できます。

また、EC外注の主なメリットとして、以下が挙げられます。

  • 固定人件費を変動費化し、売上変動に柔軟に対応
  • 外部の専門知識と最新ツールを即座に活用
  • 立ち上げスピードの大幅な短縮
  • 運営品質の標準化と向上

EC外注の最大の利点は、固定人件費を変動費化できる点にあります。売上の季節変動に応じて委託規模を調整すれば、コスト最適化を実現できるでしょう。

さらに、外部パートナーが保有する最新ツールやノウハウを活用することで、立ち上げスピードと運営品質の両方を向上させられます。

EC運営で外注できる9つの業務【一覧】

EC運営で外注できる9つの業務【一覧】

EC運営において外注可能な業務は多岐にわたり、自社の状況に応じて最適な委託範囲を選択できます。

以下に代表的な9つの業務領域を、一覧でまとめました。詳細については本記事内で解説しています。

業務領域 主な委託内容 期待効果
ECサイト構築 デザイン・開発・保守 初期投資抑制・専門性確保
商品登録(ささげ) 撮影・採寸・原稿作成 品質向上・作業効率化
商品管理 在庫管理・発注管理 欠品防止・適正在庫維持
受注管理 注文処理・ステータス管理 リードタイム短縮
カスタマーサポート 問い合わせ対応全般 顧客満足度向上
発送業務 物流・配送全般 配送品質標準化
広告運用 Web広告・SNS広告 ROI最大化
SEO最適化 コンテンツ制作・技術改善 自然流入増加
メール・LINE CRM施策全般 LTV向上

これらの業務は個別に委託することも、複数を組み合わせることも可能です。

まずは自社のボトルネックとなっている業務から外注を開始し、効果を確認しながら委託範囲を段階的に拡張していくとよいでしょう。

ECサイトの構築

ECサイト構築の外注では、ASP、オープンソース、パッケージ、フルスクラッチという4つの開発方式から、自社の事業規模や要件に最適な手段を選定することが基本となります。

【開発方式別の特徴】

方式 初期費用 カスタマイズ性 保守の容易さ 適した企業規模
ASP 簡単 小規模
オープンソース 中程度 中規模
パッケージ 中程度 中〜大規模
フルスクラッチ 最高 最高 難しい 大規模

ASPなら初期費用を抑えて素早く立ち上げられる一方、フルスクラッチなら独自性の高い機能実装が可能でしょう。

構築段階で特に重視すべきは、セキュリティ要件の確認です。以下の項目は必ずチェックしましょう。

  • SSL証明書の導入状況
  • 決済システムの安全性(PCI DSS準拠など)
  • サーバー・データベースの冗長化体制
  • 定期的なセキュリティアップデート体制
  • 障害発生時の対応フロー

さらに、公開後の運用を見据えた体制づくりも欠かせません。

システムの保守対応、定期的なアップデート、障害発生時の対応フローなど、長期的な運営を支える仕組みを構築時点で取り決めておくことで、将来的な運営コストを大幅に削減できます。

商品登録(ささげ業務)

商品登録業務、通称「ささげ業務」は、撮影(さ)・採寸(さ)・原稿作成(げ)の頭文字を取った呼称で、EC運営の中でも特に作業量が多い領域です。

プロフェッショナルな外注先に委託することで、商品画像と説明文の品質を大幅に向上させられるでしょう。

ささげ業務を外注することで、以下のメリットが得られます。

  • プロカメラマンによる高品質な商品撮影
  • 統一感のある商品説明文の作成
  • 大量SKUの短期間での処理が可能
  • 季節商品の迅速な投入を実現

特に、大量のSKUを短期間で投入する必要がある場合、外注の効果は絶大です。自社で撮影スタジオを構え、専門スタッフを雇用するよりも、必要な時期に必要な分だけ委託する方が、コスト効率と品質の両面で優れています。

また、ブランドイメージの一貫性を保つために、以下の5項目を事前に共有することがポイントです。

  1. 撮影スタイルガイド(照明、アングル、背景など)
  2. モデル使用時のポージング指示
  3. 商品説明文のトーン&マナー
  4. NGワード・表現のリスト
  5. 納品形式とファイル命名規則

注意すべき点として、著作権や肖像権の取り扱いが挙げられます。

撮影した画像の二次利用権や、モデルの肖像権処理など、後々トラブルにならないよう、法的な側面も含めて慎重に検討することが大切です。

商品管理(在庫管理)

商品や在庫管理の外注は、リアルタイムな在庫反映と自動発注設定を外部システムと運用代行の組み合わせで実現し、欠品や過剰在庫のリスクを大幅に軽減します。

特に、複数の販売チャネルを運営している場合、在庫の一元管理は売上機会損失を防ぐ上で極めて重要です。

外注による効果的な在庫管理を実現するには、返品処理や棚卸しを含む全体フローの明文化が不可欠です。入荷から出荷、返品再登録まで、各プロセスでの責任範囲と作業手順を詳細に定義することで、ヒューマンエラーを最小限に抑えられます。

セール期間やイベント時など、需要変動が激しい時期こそ外注の真価が発揮されます。外注先と密な連携を取ることで、急激な需要増にも柔軟に対応でき、機会損失を最小化できるでしょう。

受注管理

受注管理業務の外注では、注文確認から決済ステータス確認、出荷指示まで一連のプロセスを専門オペレーターが処理することで、リードタイムを大幅に短縮できます。

24時間365日の受注処理体制を自社で構築するよりも、外注を活用する方が費用対効果に優れているケースが多いでしょう。

【受注管理の基本フロー】 

  1. 注文受付:注文内容の確認・不備チェック
  2. 在庫確認:在庫有無の確認・引当処理
  3. 決済処理:決済ステータスの確認
  4. 出荷指示:倉庫への出荷指示発行

繁忙期における注文の急増は、多くのEC事業者にとって悩みの種です。しかし、外注パートナーの柔軟な人員配置により、注文処理の遅延を防ぎ、顧客満足度を維持できます。

また、API連携による受注データの自動共有は、入力ミスをゼロに近づける効果的な手段となります。顧客データの正確性を保ちながら、処理スピードも向上させられるでしょう。

カスタマーサポート

カスタマーサポートの外注により、電話・メール・チャットでの24時間対応体制を構築し、顧客満足度を高水準で維持できます。

特に、深夜や早朝の問い合わせにも即座に対応できる体制は、競合他社との差別化要因となるでしょう。

【対応チャネル別カスタマーサポートの特徴】

チャネル 対応時間 コスト 顧客満足度 適した問い合わせ
電話 即時 緊急・複雑な案件
メール 数時間〜1日 詳細確認が必要な案件
チャット 数分 簡単な質問・確認
チャットボット 即時 最低 FAQ対応

外注で効果的なカスタマーサポートを実現するには、以下の準備が欠かせません。

  • FAQ(よくある質問)の整備
  • 対応スクリプトの作成
  • エスカレーションルールの設定
  • ブランドトーン&マナーの共有
  • 禁止事項・NG対応の明確化

問い合わせが急増する時期には、チャットボットの活用や人員の臨時増強により、応答時間の遅延を回避できます。

AIを活用した一次対応と、人によるきめ細かな二次対応を組み合わせることで、効率性と満足度の両立が可能となるでしょう。

発送業務

発送業務の外注では、倉庫保管からピッキング、梱包、配送手配まで物流プロセス全体を一括委託することで、梱包品質と発送スピードを標準化できます。

自社で物流拠点を構えるよりも、専門業者のインフラを活用する方が、初期投資を抑えながら高品質なサービス提供が可能です。

以下は、発送業務を外注する主なメリットです。

  • 倉庫・設備への初期投資が不要
  • 繁忙期・閑散期に応じた柔軟な対応
  • プロによる梱包品質の向上
  • 配送事故率の低減
  • 全国配送ネットワークの即時利用

セール期間や季節変動に応じて倉庫スペースや作業人員を柔軟に調整でき、固定費として重くのしかかる倉庫賃料や人件費を抑制できます。アパレルや雑貨など季節性の強い商材を扱う事業者にとって、この柔軟性は競争力向上につながります。

また、在庫状況や配送ステータスをリアルタイムで連携できるシステムの導入により、顧客からの問い合わせも大幅に減らせるでしょう。

広告運用

広告運用の外注では、リスティング広告やSNS広告など、複雑化するデジタル広告を専門チームが代行することで、費用対効果の最大化を図れます。

Google広告やMeta広告(Facebook、Instagram広告)など、各プラットフォームの仕様は頻繁に更新されるため、専門知識を持つパートナーの活用が成果に直結するでしょう。

また、KPIの設定と共有は、広告運用外注の成否を分ける重要なポイントです。以下のKPIを明確に設定しましょう。

  • ROAS(広告費用対効果)
  • CPA(顧客獲得単価)
  • CTR(クリック率)
  • CVR(コンバージョン率)
  • 予算消化率

データに基づくPDCAサイクルを回すことで継続的な改善を図れ、市場環境の変化にも素早く対応できます。

さらに、外注先との協働を通じて、社内チームのマーケティングスキル向上も期待できます。実際、多くの企業が外注から始めて、段階的に内製化へ移行する戦略を採用しています。

SEO最適化

SEO(検索エンジン最適化)の外注により、専門ライターによる検索意図に沿った記事作成、内部リンク設計により、自然検索からの流入を拡大できます。

Googleのアルゴリズムは日々進化しており、最新のSEOトレンドを把握した専門家の知見が不可欠となっているのが現状です。

【SEOの主要施策】

  • コンテンツSEO:キーワード調査・記事作成
  • テクニカルSEO:サイト速度改善・構造化データ
  • 内部施策:内部リンク最適化・URL構造改善
  • 外部施策:被リンク獲得・サイテーション構築

テクニカルSEOも含めた包括的な施策により、サイト全体の評価向上を図れます。

月次での詳細な分析レポート(検索順位、流入数、コンバージョンなど)をもとに次の施策を検討することで、EC事業の継続的な成長を促せます。

メール・LINE

メールマーケティングやLINE配信の外注では、RFM分析に基づくセグメント配信シナリオの構築により「休眠顧客の再活性化」を効率的に実現できます。

顧客データベースを分析し、最適なタイミングで最適なメッセージを届けることで、開封率やクリック率の向上が期待できるでしょう。

テンプレート制作から配信、効果測定まで一連の業務を外注することで、短サイクルでの施策検証が可能になります。

【メール/LINE配信の効果測定指標】

  • 開封率
  • クリック率
  • コンバージョン率
  • 配信停止率
  • ROI

A/Bテストを繰り返し、より効果的なクリエイティブや配信時間を見つけ出すことで、ROIの継続的な改善を図れます。

とくに、LINE配信においてはプラットフォーム特有のルールや制限があるため、専門知識を持つパートナーの活用が成果に直結します。

単発外注とBPOどちらを選ぶ?その判断基準

単発外注とBPOどちらを選ぶ?その判断基準

EC運営における外注には、商品登録や広告運用といった作業単体を委託する「単発外注」と、受注から物流、カスタマーサポート、マーケティングまでECオペレーション全体を一社に統括してもらう「BPO(Business Process Outsourcing)」という2つのアプローチが存在します。

【単発外注とBPOの比較】

項目 単発外注 BPO
管理工数 高い(複数社管理) 低い(一社管理)
柔軟性 高い 中程度
品質の一貫性 業務により異なる 高い
適した企業規模 スタートアップ〜中規模 中規模〜大規模

どちらを選択すべきかは、自社の成長ステージと経営資源によって異なるでしょう。

【成長ステージ別の推奨アプローチ(例)】

  1. 立ち上げ期(月商100万円未満)
    • 単発外注でボトルネック業務から開始
    • 初期投資を抑えながら効果を検証
  2. 成長期(月商100万〜1000万円)
    • 複数業務の外注を組み合わせ
    • BPO移行の検討開始
  3. 拡大期(月商1000万円以上)
    • BPOによる包括的な運営効率化
    • 社内リソースを戦略領域に集中

立ち上げ期の事業者には、まず単発外注でのスモールスタートがおすすめです。初期投資を抑えながら、最もボトルネックとなっている業務から順次外注化を進めることで、リスクを最小限に抑えつつ効果を実感できます。

そして、事業が成長フェーズに入り、複数の外注先管理が煩雑になってきたタイミングで、BPOへの移行を検討するケースが一般的です。

EC事業のすべてを外注に頼ると、自社の競争力が失われるリスクもあります。通販マーケッターGrowth!のようなサービスを活用しながら、自社に最適なバランスを見つけることが成功へのポイントになるでしょう。

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ECのBPOで外注できる業務や導入ステップを解説!

失敗しないEC外注先の選び方|5つの評価軸と確認事項

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EC外注を成功させるには、適切なパートナー選定が不可欠です。課題の棚卸し、委託範囲の決定、そしてパートナー選定という3段階のプロセスを踏むことで、失敗リスクを大幅に軽減できるでしょう。

ここでは、外注先を選ぶ際の5つのポイントを詳しく解説します。

  • 自社課題の洗い出し
  • 外注範囲の明確化
  • 実績・得意分野をチェック
  • 契約形態
  • サポート内容

契約前の段階では、トライアル期間の設定も有効な手段となります。小規模なプロジェクトから始めて、実際の作業品質やコミュニケーションの円滑さを確認してから、本格的な契約に進むことで、ミスマッチのリスクを回避できるでしょう。

自社課題の洗い出し

EC外注を検討する第一歩は、自社が抱える課題の明確化です。人手不足、専門知識の欠如、売上の停滞など、現状の問題点を可視化することから始めましょう。

漠然とした不満ではなく、具体的な数値やエピソードをもとに、現状の課題を整理することが重要です。

また、ボトルネックとなっている工程の特定には、各業務にかかる時間とコストの定量的な把握が欠かせません。

さらに、外注の目的も明確にする必要があります。コスト削減を主目的とするのか、成長加速を狙うのか、あるいは品質向上を重視するのかによって、選ぶべきパートナーや契約形態が変わってきます。

複数の目的がある場合は、優先順位を設定し、段階的な実現計画を立てることが望ましいでしょう。

外注範囲の明確化

外注範囲を明確化しておくことも、外注の成否を左右する重要なステップです。まず、委託すべき業務と内製を継続すべきコア業務を明確に区分しましょう。

一般的に、定型的で専門性の高い業務は外注に適している一方、戦略立案や商品企画など、競争優位性に直結する業務は内製が望ましいです。

また、段階的な導入アプローチも、リスク管理の観点から推奨されます。最初はスポット的な委託から始め、成果を確認しながら常時委託へ移行し、最終的にBPOへと発展させるケースが多く見られます。

業務の切り出し方にも工夫が必要です。たとえば、カスタマーサポートを外注する場合、一次対応のみを委託し、エスカレーション案件は自社で対応するといった役割分担が考えられます。

このように、業務を細分化し、それぞれの特性に応じて内製・外注を使い分けることで、効率性と品質の両立が可能となるでしょう。

実績・得意分野をチェック

外注先の選定において、過去の実績と得意分野の確認は必須のプロセスです。

自社と同じ業界や同規模の案件での成功事例は、そのまま自社でも成果を期待できる可能性が高いため、詳細にヒアリングしましょう。

実績確認の際は、単なる成功事例だけでなく、失敗事例とその対処法についても聞くことをおすすめします。トラブル発生時の対応力や、改善への取り組み姿勢が見えてくるでしょう。

また、得意とする販売チャネル(楽天、Amazon、自社D2Cなど)の確認も重要なポイントとなります。

自社が注力するチャネルでの豊富な実績を持つパートナーを選ぶことで、立ち上げから成長までのスピードが格段に向上します。

契約形態

EC外注の契約形態は、大きく分けて固定費型、成果報酬型、そしてハイブリッド型の3種類が存在します。

それぞれにメリットとデメリットがあるため、自社の状況と目的に応じて最適な形態を選択しましょう。

契約形態 メリット デメリット
固定費型 ・予算管理が容易
・安定的なサービス
・頻閑差で非効率
・成果との連動なし
成果報酬型 ・初期リスクが低い
・成果に連動
・成功時のコスト大
・予算の上振れリスク
ハイブリッド型 ・リスクとリターンのバランス
・柔軟な設計が可能
・複雑な計算
・管理が煩雑

成果報酬型を選択する場合は、以下の項目をチェックすることが不可欠です。

  • 対象売上の定義(返品・キャンセル除外など)
  • 計算期間(月末締め翌月末払いなど)
  • 最低保証額の有無(月額30万円保証など)
  • インセンティブ条項(目標達成時+1%など)

さらに重要なのが、更新・解約条項とデータの帰属に関する取り決めです。

契約期間、更新条件、解約時のデータ引き継ぎ方法など、将来的なシナリオを想定した条項を盛り込むことで、トラブルを未然に防げます。

特に、顧客データや運用ノウハウの所有権については、明確に定めておくことが肝要です。

サポート内容

外注先のサポート体制は、日々の運用効率と問題解決スピードに直結する重要なポイントです。専任担当者の有無、緊急時の連絡手段、対応可能時間など、具体的な運用体制を契約前に詳細に確認しましょう。

また、定期的なレポーティングと振り返りミーティングの頻度・内容も、契約前に確認すべき事項です。

月次レポートでは、KPIの達成状況だけでなく、改善提案や市場動向の共有なども含まれていると理想的でしょう。

さらに、教育・オンボーディング支援の充実度は、立ち上げスピードを大きく左右します。

マニュアルの提供、初期研修の実施、定期的なスキルアップ研修など、継続的な品質向上への支援があるかを確認することが大切です。

EC外注の注意点とその対策

EC外注の注意点とその対策

EC外注には多くのメリットがある一方で、適切に管理しなければ深刻な問題を引き起こすリスクも存在します。

主な注意点として、以下が挙げられます。

  • 自社ノウハウ蓄積が進まない
  • 品質・顧客満足への影響
  • コストが増大する可能性
  • 情報セキュリティ上のリスク

これらのリスクは、事前の対策により大幅に軽減できます。重要なのは、外注を単なるアウトソーシングと捉えるのではなく、戦略的パートナーシップとして位置づけることです。

自社ノウハウ蓄積が進まない

EC運営を外注に依存しすぎると、社内メンバーがスキルアップする機会が失われ、自社にノウハウが蓄積されないという問題が生じます。

特に、マーケティングや顧客対応など、事業の根幹に関わる領域でこの問題が顕在化すると、長期的な競争力の低下につながります。

この問題への対策として、SOP(標準作業手順書)の共有や共同プロジェクトの実施により、外注先から自社への知見移転を仕組み化することが重要です。

たとえば、以下の方法で暗黙知の形式知化を進められます。

  • 定期的な勉強会の開催
  • 外注先スタッフとの人材交流

さらに、外注先の作業を定期的に社内メンバーが体験することで、実践的なスキル習得も可能となるでしょう。

また、段階的なインハウス化のロードマップを描くことも、有効な対策です。最初は100%外注でスタートし、徐々に社内で対応できる範囲を広げていく計画を立てることで、無理のない形でノウハウの内製化を進められます。

品質・顧客満足への影響

外注先スタッフの対応品質が自社のブランド基準に満たない場合、顧客満足度の低下や、最悪の場合ブランドイメージの毀損につながるリスクがあります。

特に、カスタマーサポートや商品説明文など、顧客との接点となる業務では、この問題が顕著に現れやすいです。

品質管理の第一歩として、KPIにCSAT(顧客満足度スコア)やNPS(ネットプロモータースコア)、レビュー評価などの指標を組み込み、品質を定量的に管理する体制を構築することが不可欠です。

これらの指標を定期的にモニタリングし、基準を下回った場合の改善プロセスを明確化しておくことで、品質の維持・向上を図れます。

また、マニュアルとトーン&マナーの定期的な見直しも、品質維持には欠かせません。市場環境や顧客ニーズの変化に応じて、対応方針をアップデートし続けることで、常に高品質なサービスを提供できるでしょう。

コストが増大する可能性

EC外注においてよく起こる失敗の一つが、当初の想定を超えたコスト増大です。

成果報酬型契約での売上急増による手数料の上振れや、追加オプションの積み重ねによる費用膨張など、様々な要因でコストが増大するリスクが存在します。

  • 売上連動手数料の上振れ
  • 追加オプションの積み上げ
  • 業務範囲のなし崩し的拡大
  • 緊急対応費用
  • システム連携費用

これらのリスクを回避するため、契約前の段階で詳細な案件シミュレーションを行うことが重要です。

様々なシナリオでのコストを試算し、予算の上限を明確に設定しておくことで、想定外の出費を防げるでしょう。

また、長期契約を結ぶ際は、段階的な評価条件を盛り込むことも有効な対策となります。

3ヶ月、6ヶ月、1年といった節目で成果を評価し、目標未達の場合は料金体系を見直す条項を設けることで、費用対効果を継続的に最適化できます。

情報セキュリティ上のリスク

EC事業において、顧客の個人情報や決済情報の漏えいは、企業の信用失墜と多額の損害賠償につながる最も深刻なリスクの一つです。

外注先を経由した情報漏れのリスクは、適切な対策なしには防げません。

一般的に、技術面と契約面での多重防御が、セキュリティリスク対策の基本となります。

まず、NDA(秘密保持契約)の締結は必須です。さらに、アクセス権限の細かな管理、暗号化通信の徹底、安全なファイル共有システムの導入など、技術的な対策を重層的に実施する必要があるでしょう。

また、定期的な監査とログモニタリングにより、継続的な安全性の検証を行うことも重要です。

年に1〜2回の外部監査を実施し、セキュリティホールがないかチェックすることで、潜在的なリスクを早期に発見できます。

EC外注のメリットを活用しよう

EC外注のメリットを活用しよう

EC外注は、適切に活用すれば事業成長の強力な推進力となります。

人件費や設備投資といった固定費を抑制しながら、売上変動に応じて柔軟にコストを最適化できる点は、特に成長期の事業者にとって大きなメリットとなるでしょう。

標準化されたオペレーションの導入により、サービス品質の均一化と業務効率の向上を同時に実現可能です。立ち上げから日常業務まで、各プロセスのリードタイムを短縮することで、市場機会を逃さず、競合他社に対する優位性を確保できます。

さらに、煩雑なバックヤード業務を外注に任せることで、社内リソースを商品企画やブランド戦略といった、より付加価値の高い領域にシフトできる点も大きなメリットです。

実際のところ、多くのEC事業者が段階的な外注活用により成長を実現しています。

まずは部分的な外注で成果を確認しながら徐々に範囲を拡大し、将来的にはBPOへの移行により、EC運営全体をワンストップで最適化しましょう。

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