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「メディアコマースを最近よく聞くけれど、結局なにをすればいいのか?」

EC担当者からそんな声をいただく機会が増えました。

広告費(リスティング等)のCPAが高騰し続けているのに売上は頭打ち。競合ECサイトがブログや動画などコンテンツを充実させ始めているなか、自社ECは商品を並べるだけの「カタログ状態」で差別化できていない。

そもそも「メディアコマース」という言葉を業界記事や上司との会話で見聞きしたものの、正確な定義や自社に関係ある話なのかが分からず、判断も提案もできない。

こうした課題を抱えるEC担当者は少なくありません。

経済産業省によると、2024年の日本国内BtoC-EC市場規模は26兆円を超え、EC化率も拡大を続けています。市場が伸びる一方で、商品点数や価格だけでは他社との違いを打ち出しにくくなっているのも事実です。

本記事では、メディアコマースの定義から類似概念との違い、メリット・デメリット、発信すべきコンテンツの種類、そして成功事例までを体系的に解説します。

メディアコマースとは

メディアコマースとは

メディアコマースとは、情報発信を行う「メディア」としての機能と、商品を販売する「ECサイト」としての機能を一体化させたWebサイトの形態を指します。「メディアEC」や「コンテンツコマース」と呼ばれることもあり、いずれも同じ概念です。

従来のECサイトが商品ページを中心に構成されるのに対し、メディアコマースでは商品情報にとどまらず、顧客の悩みや関心に応えるコンテンツを幅広く発信します。

たとえば、ブログ記事で使い方を解説したり、動画で商品の質感を伝えたりと、「買う前に知りたい」ユーザーの情報ニーズを満たす点が特徴です。

メディアコマースで発信される代表的なコンテンツには、以下のようなものがあります。

コンテンツの種類 特徴
ブログ記事 SEOとの相性が高く、検索流入の入口になる
コーディネート提案 着用例やレイアウト例で購入後のイメージを補完する
動画コンテンツ テキストや画像より情報量が多く、使用感を直感的に伝えられる
開発ストーリー
生産者インタビュー
作り手の想いを伝え「この人から買いたい」という動機を生む

それぞれの詳細は後述しますが、どの形式を選ぶ場合でも共通するのは「ユーザーにとって有益な情報を提供し、購買までの距離を縮める」という目的です。

従来型ECサイトとの違い

従来型のECサイトは、商品名・価格・スペック・画像を掲載した「カタログ型」の構成が中心です。購入を決めているユーザーには十分機能しますが、いくつかの限界もあります。

まず、商品ページだけではテキスト情報量が限られるため、SEOにおいて十分な検索評価を得にくいという課題があります。検索エンジンはページの情報量や専門性を重視するため、型番と価格だけのページでは上位表示が難しくなりがちです。

一方、メディアコマースは読み物記事や動画、コーディネート提案など多様なコンテンツを内包します。これにより、商品を探しているユーザーだけでなく、「購入前に調べたい」「比較検討したい」という段階の検索ニーズにも対応可能です。

つまり、従来型ECサイトが「買いたい人を待つ」構造だとすれば、メディアコマースは「まだ買うか迷っている人にも自ら情報を届けにいく」構造だといえるでしょう。

コンテンツマーケティングとの違い

メディアコマースとコンテンツマーケティングは混同されやすい概念ですが、両者は階層が異なります。

コンテンツマーケティングとは、有益なコンテンツを通じて見込み客を集め、関係を構築し、最終的に購買や問い合わせへつなげるマーケティング手法の総称です。ブログ記事やホワイトペーパー、メルマガ、動画など、媒体や業種を問わず幅広く適用されます。

対してメディアコマースは、コンテンツマーケティングの考え方をECサイト上で実践する具体的な形態です。最大の違いは「情報発信から商品購入までが同一サイト内で完結する」点にあります。

ソーシャルコマースとの違い

ソーシャルコマースとは、InstagramやTikTokなどのSNSプラットフォーム上で商品を発見し、そのまま購入まで完結させる販売形態です。SNSのフィードやストーリーズを通じて商品に出会い、アプリ内のショッピング機能で決済まで行える仕組みが代表例になります。

メディアコマースとの大きな違いは「基盤がどこにあるか」です。ソーシャルコマースの基盤はあくまでSNSプラットフォームにあります。そのため、アルゴリズムの変更や規約の改定によって表示ロジックや販売手数料が変わるリスクを抱えています。

実際、過去にはInstagramのショッピング機能の仕様変更により、商品タグの表示順位が大きく変動した事例もありました。

一方、メディアコマースは自社ECサイトが情報発信と商品販売の両方の基盤になります。プラットフォームに依存しないため、コンテンツ設計やデータ管理の自由度が高い点がメリットです。

とはいえ、両者は二者択一ではありません。SNSで認知を広げ、興味を持ったユーザーを自社メディアコマースサイトへ誘導する。この併用戦略が、近年の主流になりつつあります。

ライブコマースとの違い

ライブコマースとは、リアルタイムの動画配信を通じて視聴者に商品を紹介・販売する手法です。視聴者がコメントで質問し、配信者がその場で回答するという双方向性が最大の特徴であり、中国や東南アジアでは既に巨大市場を形成しています。

日本国内でも、2025年6月のTikTok Shop上陸を契機に注目度が急上昇しました。アプリ内で視聴から購入まで完結する仕組みは、従来の検索型ECにはなかった「偶発的な購買体験」を生み出しています。

メディアコマースとの違いは「コンテンツの蓄積性」にあります。メディアコマースはブログ記事や動画アーカイブなど、公開後も検索流入を生み続ける蓄積型コンテンツが中心です。対してライブコマースはリアルタイム配信の「瞬発力」に強みがあり、配信終了後のアーカイブだけでは同等の集客効果を再現しにくい面があります。

ただし、ライブコマースはメディアコマースの一手段として組み合わせることも可能です。たとえば、ライブ配信の内容をダイジェスト記事としてブログに再編集すれば、蓄積型コンテンツに転換できます。両者の強みを掛け合わせることで、瞬発力と持続力の両方を備えた集客基盤を構築できるでしょう。

ライブコマースについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

▼あわせて読みたい
ECで注目のライブコマースとは?メリット・デメリット・やり方を徹底解説

EC業界でメディアコマースが注目されている背景

EC業界でメディアコマースが注目されている背景

メディアコマースが注目されている理由は「従来の集客手法の限界」「消費者行動の変化」「業界構造の変化」が同時に進行しているためです。ここでは、5つの背景を整理します。

【リスティング広告のCPA高騰】
Google広告やYahoo!広告の入札競争が激化し、1件あたりの獲得コストが年々上昇しています。特にEC領域では、広告費をかけても利益が残りにくい構造に陥っている企業が少なくありません。

【Cookie規制の強化】
AppleはSafariにおけるITP(Intelligent Tracking Prevention)を2017年から段階的に強化し、2020年にはサードパーティCookieを実質全面ブロックしました。一方、Googleも当初ChromeにおけるサードパーティCookieの廃止を計画していましたが、方針を転換し、ユーザー自身が選択する仕組みへ移行しています。

いずれにしても、リターゲティング広告の精度は低下傾向にあり、従来型のターゲティング手法が通用しにくくなりました。

【EC参入企業の急増】
コロナ禍以降、業種を問わずECに参入する企業が増え、商品ラインナップや価格帯だけでは差別化が困難になっています。同一カテゴリ内で複数のECサイトが競合するなかで、「なぜこの店で買うのか」という理由づけが求められるようになりました。

【消費者の購買プロセスの変化】
現在の消費者は、商品を購入する前にSNSや検索エンジンで情報収集を行い、レビューや比較記事を確認してから購入先を決定する傾向が強まっています。Googleが提唱した「ZMOT(Zero Moment of Truth)」の概念どおり、購入の意思決定は店舗やECサイトにアクセスする前にほぼ完了しているケースも多いです。

【メディア企業のEC参入】
近年では、講談社やハースト婦人画報社のように、出版社やWebメディアが記事コンテンツからECへ直接誘導する新しいメディアコマースのモデルも登場しています。メディアが持つ集客力と編集力をEC販売に活かす流れは、情報の信頼性を重視するユーザーにも支持されやすいといえるでしょう。

こうした複合的な要因が重なり、「広告に頼り続ける集客」から「コンテンツで自ら顧客を集める集客」へのシフトが加速しています。

メディアコマースに取り組む4つのメリット

メディアコマースに取り組む4つのメリット

メディアコマースには、広告に頼らない検索流入の獲得からブランド構築まで、幅広いメリットがあります。短期施策である広告と異なり、時間の経過とともに成果が複利的に積み上がっていく点が大きな特徴です。

  • SEOによる集客で広告費を抑えられる
  • コンテンツを通じて競合と差別化できる
  • 情報発信の積み重ねがブランドの信頼につながる
  • 蓄積したコンテンツが中長期の集客資産になる

ここでは、これら4つのメリットを中心に解説します。

SEOによる集客で広告費を抑えられる

メディアコマースでコンテンツを継続的に発信すると、サイト全体の情報量が増え、検索エンジンからの評価が高まります。商品に関連するキーワードで検索した際に自社サイトが上位に表示されれば、広告費をかけずに見込み客を集められるようになるという点が大きなメリットです。

自然検索からの流入が安定すれば、リスティング広告の予算を段階的に削減することも現実的になります。広告は出稿を続ける限り費用が発生しますが、検索流入はコンテンツが存在する限り流入をもたらし続けるため、中長期で見たときのコストパフォーマンスに大きな差が出ます。

なお、経済産業省によるとBtoC物販系のEC化率は9.78%に達しており、オンラインで商品を探す消費者は今後さらに増えていく見通しです。検索結果で自社サイトを見つけてもらえるかどうかが売上に直結する以上、SEOを通じて「見つけてもらえる状態」を作ることの重要性は、ますます高まるでしょう。

出典:経済産業省「令和6年度 電子商取引に関する市場調査」

コンテンツを通じて競合と差別化できる

ECサイトの商品ページは、どうしても商品スペックや価格の比較に終始しがちです。そのため、同じ商品を扱うショップが複数ある場合、ユーザーは最安値を選びやすく、価格競争に巻き込まれるリスクが高まります。

メディアコマースでは、価格表では伝えきれないブランドの世界観や商品の開発背景、使い方の提案を発信できます。たとえばアパレルECなら「今季のトレンドカラーを取り入れた着こなし3選」のような記事を通じて、単なるスペック比較から一歩踏み込んだ訴求が可能です。

また、商品関連キーワードでの検索上位表示を狙うことで、まだ購入先を決めていない潜在顧客と接点を持てる点も見逃せません。先述した「ZMOT」の概念が示すとおり、消費者は来店やサイト訪問の前にすでに情報収集を終えているケースが増えています。この「調べる段階」で見つけてもらえるかどうかが、競合との明暗を分けるでしょう。

情報発信の積み重ねがブランドの信頼につながる

はじめて訪れたECサイトでいきなり高額商品を購入するのは、多くのユーザーにとってハードルが高い行動です。「このサイトは信頼できるのか」「商品は本当に期待どおりの品質なのか」。初回購入には、こうした心理的な壁がつきまといます。

メディアコマースでは、正確で有益な情報を継続的に発信することで、サイト全体の信頼性を底上げできます。たとえば、商品の使い方を丁寧に解説した記事や、成分や素材について専門的に掘り下げたコラムは、ユーザーの不安を和らげる材料になるでしょう。

特に中小規模のEC事業者にとって、このブランド信頼の構築は重要な意味を持ちます。大手と比べて知名度で劣る場合でも、質の高いコンテンツを通じて専門性や誠実さを伝えれば、初回購入のハードルを下げられるからです。

さらに、コンテンツを通じたブランド理解が深まれば、定期購入の継続率にも好影響が期待できます。たとえば、成分の効果や正しい使い方を解説した記事を読んだ顧客は、商品への納得感が高い分だけ解約率が低い傾向にあります。「なぜこの商品を使い続けるのか」という納得感を提供できるかどうかは、LTV(顧客生涯価値)を左右する大きな要素です。

蓄積したコンテンツが中長期の集客資産になる

広告は出稿を止めた瞬間に流入がゼロになります。月100万円の広告費で得ていたアクセスは、予算を止めれば翌月からなくなるのが現実です。

一方、メディアコマースで制作したコンテンツは、公開後も検索エンジン経由で流入を生み続けます。1年前に公開した記事が今もコンスタントにアクセスを集めているという状況は、コンテンツ運用では決して珍しくありません。

加えて、過去に公開した記事をリライト(加筆・修正)すれば、検索順位を維持・向上させる運用も可能です。ゼロから新しい記事を書くよりも工数が少なく済むため、限られたリソースで成果を出し続ける方法としても有効でしょう。

また、一度作ったコンテンツはSNS投稿やメルマガの素材として横展開できます。ブログ記事の要点をInstagramの投稿にまとめたり、動画の内容をテキスト化してメルマガに活用したりと、1つのコンテンツから複数のタッチポイントを生み出せるのも蓄積型ならではのメリットです。

メディアコマースで押さえるべき3つのデメリット

メディアコマースで押さえるべき3つのデメリット

メリットの多いメディアコマースですが、事前にデメリットを把握しておかなければ、運用負荷やコストの壁にぶつかって挫折するケースが少なくありません。

以下は、メディアコマースの主なデメリットです。

  • SEO評価を得るまでに半年〜1年以上かかる
  • コンテンツ制作の体制を継続的に確保する必要がある
  • コンテンツの盗用リスクへの備えが求められる

重要なのは、デメリットを理由に「やらない」と判断することではなく、リスクを正しく認識したうえで社内の期待値を合わせることです。段階的にスタートすれば、失敗の確率は大きく下がります。

SEO評価を得るまでに半年〜1年以上かかる

メディアコマースに取り組んだからといって、翌月すぐに検索流入が増えるわけではありません。Googleの検索アルゴリズムは、サイトの専門性・コンテンツの網羅性・被リンクの質など複合的な評価基準で順位を決定しており、新しいコンテンツが評価されるまでには一定の時間がかかります。

目安として、月2本以上のペースで記事を投稿しても、狙ったキーワードで上位表示されるまでに半年〜1年程度は見込んでおくべきです。Google Search Central(Google検索セントラル)の公式見解でも、SEOの成果が出るまでに「通常4ヶ月〜1年」とされています。

焦って途中で方針を変えてしまうとかえって成果が遠のくため、この時間軸を前提に計画を立てることが重要です。

この「成果が見えない期間」を社内で共有できていないと、「本当に効果があるのか」という疑問が経営層から出てプロジェクトが頓挫する、というのがよくある失敗パターンです。

対策として、最終ゴールの検索順位だけでなく、中間KPIを設定し、定期的に進捗を報告する仕組みを整えておくとよいでしょう。

たとえば、以下のような指標が中間KPIの候補になります。

  • PV数(ページビュー数): コンテンツがどれだけ閲覧されているかを示す基本指標
  • 流入キーワード数: 検索エンジン経由の流入キーワードがどれだけ広がっているか
  • 平均滞在時間: コンテンツがユーザーにしっかり読まれているかの質的指標
  • 検索順位の推移: 狙ったキーワードでの表示順位が上昇傾向にあるか

最終ゴールの売上貢献が見えるまでに時間がかかるからこそ、これらの中間指標で「成果に向かって前進している」ことを経営層に示す工夫が欠かせません。

コンテンツ制作の体制を継続的に確保する必要がある

メディアコマースにおけるコンテンツ制作は、想像以上に工数がかかります。1本の記事を公開するまでには、キーワード選定・構成作成・執筆・画像選定・校正・入稿という複数のプロセスが発生し、すべてを一人で担うのは現実的ではありません。

特にEC事業者の場合、コンテンツ制作とは別に受注対応・出荷管理・顧客対応などの日常業務があります。コンテンツ制作が「空いた時間にやる業務」に位置づけられてしまうと、更新頻度が安定せず、結果として成果につながりにくくなります。

理想は複数名で役割を分担する体制ですが、リソースに限りがある場合は、外注と内製のハイブリッド運用も選択肢に入れてみてください。たとえば、構成と監修は社内で行い、執筆は外部ライターに委託する方法であれば、品質を維持しつつ工数を抑えられます。

なお、記事制作の外注費用は内容や文字数にもよりますが、1本あたり数万円〜が相場の目安です。

コンテンツの盗用リスクへの備えが求められる

検索上位に表示されるコンテンツほど、競合サイトにコピーやリライトをされるリスクが高まります。手間をかけて作った記事が無断で流用されるのは、精神的にも事業的にも大きな損失です。

Googleは盗用コンテンツを検出し、評価を下げるアルゴリズムを搭載していますが、完全に排除できるわけではありません。特に文章構成をなぞりつつ表現だけ変えた「リライト型」の盗用は、アルゴリズムでの検知が難しいのが現状です。

最も効果的な対策は、自社独自の一次情報を積極的に盛り込むことです。自社で実施したアンケート結果、商品の開発過程で得た知見、顧客インタビューの内容などは、他社が容易にコピーできません。

「このサイトでしか読めない情報」が増えるほど、コンテンツの模倣耐性が高まるだけでなく、検索エンジンからの評価も上がりやすくなります。

メディアコマースで発信するコンテンツの種類

メディアコマースで発信するコンテンツの種類

メディアコマースの成果は「何を発信するか」で大きく変わります。商材の特性やターゲットユーザーの行動によって、効果的なコンテンツ形式は異なるためです。

ここでは、以下の代表的なコンテンツについて解説します。

  • ブログ記事
  • 商品のコーディネート提案
  • 動画コンテンツ
  • 開発ストーリー・生産者インタビュー

テキスト・画像・動画を組み合わせた複合的な展開が成果を出しやすい傾向にありますが、どの形式を選ぶにしても「ユーザーの疑問を解決する」という視点は共通の前提です。

ブログ記事

ブログ記事は、SEOとの相性が最も高く、メディアコマースの基本となるコンテンツです。テキスト主体のコンテンツは検索エンジンがインデックスしやすく、商品に関連するキーワードで上位表示を狙う際の主力になります。

コンテンツの企画にあたっては、商品関連キーワードやサジェストワード(検索窓に表示される候補語句)からユーザーニーズを把握するのが基本です。たとえば、「プロテイン 飲むタイミング」「オーガニック化粧水 敏感肌」のような検索クエリは、ユーザーが抱える具体的な疑問をそのまま反映しています。

テキスト情報が少ないECサイトは、検索エンジンの評価において不利になりやすいのが実情です。商品ページだけでは網羅できない周辺情報をブログ記事で補うことで、サイト全体の評価を底上げできます。

以下は、マーケティングフレームワークの一つである「DECAXモデル」です。

  1. 発見(Discovery)
  2. 関係構築(Engage)
  3. 確認(Check)
  4. 行動(Action)
  5. 体験共有(eXperience)

ブログ記事は特に「発見」と「関係構築」の段階を担い、検索で見つけてもらった後にユーザーとの信頼関係を築く役割を果たせます。

商品のコーディネート提案

コーディネート提案は、アパレルやインテリアなど「組み合わせ」が購買の決め手になる商材と相性の良いコンテンツです。

ECサイトでは実物を手に取れないため、「実際に着たらどう見えるか」「部屋に置いたときの雰囲気はどうか」といった不安がつきまといます。コーディネート提案では、実際の着用シーンやレイアウト例を写真で見せることで、ユーザーが購入後の生活をイメージしやすくなるでしょう。

さらに、1つのコーディネートで複数の商品を同時に提案すれば、クロスセル(ついで買い)の促進にもつながります。たとえば「このジャケットに合うパンツとシューズ」をセットで紹介すれば、1回の訪問で客単価が向上する可能性が高まります。

インテリア系ECであれば、1つの部屋をテーマにした「モデルルーム提案」も効果的です。ソファ・テーブル・照明をまとめて見せることで、ユーザーは「この空間をそのまま再現したい」と感じ、複数商品のまとめ買いにつながりやすくなります。

動画コンテンツ

動画コンテンツは、テキストや画像では伝えきれない使用感や質感を、直感的に届けられる形式です。「実際に使っている様子を見たい」というユーザーのニーズに応えやすく、商品理解の深度を高めるのに適しています。

YouTubeやInstagramリールなど外部プラットフォームへの横展開が容易な点も動画の強みです。自社ECサイト上で公開するだけでなく、SNSに短尺版を投稿して流入経路を増やす戦略が取れます。

また、公開済みのアーカイブ動画をブログ記事に埋め込む手法も有効です。検索流入で記事にたどり着いたユーザーが記事内で動画を視聴すれば、ページの滞在時間が伸び、SEO評価の向上にもつながります。

テキストと動画を組み合わせた「リッチコンテンツ」は、ユーザー体験と検索評価の両面でメリットのある手法です。

開発ストーリー・生産者インタビュー

作り手の顔や想いを伝えるコンテンツは、「この人から買いたい」「この会社を応援したい」という感情的な購買動機を生み出します。特に、食品・農産物・工芸品など、ストーリー性のある商材で効果を発揮しやすい形式です。

「この原材料はどこで採れたのか」
「なぜこの製法にこだわるのか」

こうした背景情報は、スペック表だけでは伝わらない商品価値を可視化します。

さらに、開発ストーリーや生産者インタビューは自社独自の一次情報であるため、競合にコピーされにくいという大きな強みがあります。先述した盗用リスクへの備えとしても機能し、検索エンジンの「E-E-A-T」(経験・専門性・権威性・信頼性)の評価軸とも合致するコンテンツです。

取材や撮影の工数はかかりますが、一度制作すれば長期にわたってサイトの資産になります。社内に取材対象がいる場合は、比較的低コストで始められる点もメリットでしょう。

自社の商材に合ったコンテンツの選び方

自社の商材に合ったコンテンツの選び方

メディアコマースを始める際、最も多い悩みが「結局、自社ではどのコンテンツから手をつければいいのか分からない」というものです。ここでは、判断の軸となる考え方を整理します。

まず、商材特性に合わせてコンテンツの型を選びましょう。 大きく分けると「使い方解説型」「世界観提案型」「比較検討型」「共感醸成型」の4パターンがあります。

商材タイプ 向いているコンテンツ型 推奨コンテンツ形式 具体例
機能理解が購買を左右する商材
(家電・ガジェット等)
使い方解説型 ブログ記事
動画
「ロボット掃除機の正しい使い方と活用テクニック」
ビジュアルの印象が購買を左右する商材
(アパレル・コスメ等)
世界観提案型 コーディネート提案
動画
「今季トレンドカラーを取り入れた大人カジュアル3選」
成分や効能の比較が購買を左右する商材
(サプリ・スキンケア等)
比較検討型 ブログ記事
開発ストーリー
「ビタミンCサプリの選び方——含有量・吸収率・価格で徹底比較」
ストーリー性のある商材
(食品・工芸品等)
共感醸成型 開発ストーリー
生産者インタビュー
「有機栽培にこだわる農家の想い——収穫から発送までの舞台裏」

次に、ターゲット顧客の情報収集行動を起点に形式を決めます。

若年層がメインターゲットであればInstagramやTikTokとの親和性が高い動画コンテンツが有効です。40代以上のビジネス層であれば検索エンジン経由のブログ記事が中心になるかもしれません。ペルソナの行動特性を把握したうえでチャネルを選ぶことが重要です。

社内で確保できるリソースも、優先順位を左右する要素です。 動画制作には撮影・編集のスキルと機材が必要ですが、ブログ記事であれば比較的少人数でも始められます。人員・予算・スキルの現状を棚卸しし、無理なく続けられる形式から着手するのが得策です。

最も避けたいのは、最初から全形式に手を広げて、どれも中途半端な更新頻度になってしまうパターンです。スモールスタートで1つの形式に集中し、成果を検証しながら段階的に拡大していく進め方をおすすめします。

なお、コンテンツを発信するにはECシステム側のCMS機能やブログ機能が対応できるかの確認も忘れずに行ってください。記事の投稿・編集のしやすさ、カテゴリ管理、商品ページへの内部リンク設置など、運用の利便性はシステム選定の段階で左右されます。

メディアコマースを始めるためのEC基盤をお探しの方は、こちらの「通販マーケッターEight!」もあわせてご覧ください。

メディアコマースの成功事例3選

メディアコマースの成功事例3選

メディアコマースのメリットやコンテンツの種類を理解しても、「実際にうまくいっている企業はどう取り組んでいるのか」が分からなければ、社内での提案や具体的なアクションにはつなげにくいものです。

ここでは、業種・規模の異なる3社の事例を紹介します。

  • 北欧、暮らしの道具店
  • NOCE
  • DEPACO(大丸松坂屋百貨店)

共通しているのは、「売る前に信頼を築く」というコンテンツ設計の考え方です。成功事例から学ぶ際は、個別の施策だけでなく、その背景にあるコンテンツ設計の考え方にも注目してみてください。

北欧、暮らしの道具店

「北欧、暮らしの道具店」は、インテリア雑貨やキッチン用品を中心に扱うECサイトでありながら、メディアとしても高い評価を得ているメディアコマースの代表的な成功事例です。

最大の特徴は、スタッフ自身の暮らしのなかに商品を溶け込ませた、雑誌のようなコンテンツ設計にあります。「商品を宣伝する」のではなく、「暮らしの一場面を切り取る」スタンスで記事を制作しており、読み物としての魅力がユーザーを惹きつけています。

商品紹介記事からはワンクリックで購入ページに遷移でき、情報を得てから購入するまでのシームレスな導線も秀逸です。広告費に大きく依存するのではなく、世界観への共感でファンを獲得するモデルを確立した点は、多くのEC事業者にとって参考になるでしょう。

学べるポイント:
商品を「売り物」としてではなく「暮らしの一部」として見せるコンテンツ設計が、広告に頼らないファン型集客モデルの核になっています。

参考:北欧、暮らしの道具店

NOCE

家具・インテリアのECサイト「NOCE」は、コーディネート提案型のメディアコマースで成果を上げている好例です。

NOCEの特徴は、実際の部屋を想定したインテリアコーディネート例を写真つきで掲載し、ページ内の一括購入ボタンからまとめて商品をカートに入れられる仕組みを採用している点にあります。リーズナブルな価格帯の商品を少数で組み合わせて提案することで、「モデルルームの再現」に対するユーザーの心理的ハードルを下げました。

さらに注目すべきは、購入者が投稿したコーディネート写真をサイト上に掲載し、UGC(ユーザー生成コンテンツ)をコンテンツ資産として活用している点です。自社制作のコンテンツだけに頼らず、顧客の声を取り込むことで、少ないリソースでもコンテンツ量を確保する仕組みを構築しています。

学べるポイント:
「一括購入ボタン」で客単価向上の仕組みを作りつつ、UGCを活用して少人数でもコンテンツ量を確保するモデルは、リソースに限りがあるEC事業者にとって再現性が高いです。

参考:NOCE 公式サイト

DEPACO(大丸松坂屋百貨店)

大丸松坂屋百貨店が運営する「DEPACO(デパコ)」は、コロナ禍の店舗休業をきっかけに立ち上げられたコスメ特化のメディアコマースサイトです。

新型コロナウイルス感染症の影響で百貨店の営業自粛が続くなか、ECサイトでの化粧品販売を強化する必要に迫られました。しかし、当時のECサイトは実店舗の在庫と紐づいた構造のため、店舗休業中はEC販売も止まってしまうという課題を抱えていました。

そこでecbeingを導入し、ECサイトのリニューアルと同時にメディアコマースの機能を実装しました。

DEPACOの特徴は、単なる商品紹介にとどまらないコンテンツ設計です。コスメ情報に加えて、著名人へのインタビューや占いコンテンツなど、商品に直接関係しない読み物コンテンツも充実させています。この「ファンになってもらう」ことをKPIに据えた設計が、リピート訪問と購買の両方を促進している点が印象的です。

学べるポイント:
商品情報だけでなく「ファン化」を目的とした非商品系コンテンツを組み合わせることで、ECサイトへのリピート訪問を習慣化させています。

参考:DEPACO

メディアコマースの成功は「続けられる体制づくり」がポイントメディアコマースの成功は「続けられる体制づくり」がポイント

改めて強調したいのは、メディアコマースの失敗原因の大半は「途中で更新が止まること」にあるという事実です。

どれだけ良い構成案を練り、質の高いコンテンツを1〜2本制作しても、更新が止まればSEO評価は伸びず、集客効果も蓄積されません。成果が見えない期間(多くの場合、半年から1年)を乗り越えるには、始める前に社内で期待値を調整しておくことが不可欠です。

成功のためのポイントは、大きく3つに集約されます。

  • 最初から完璧を目指さない
  • PDCAサイクルを回す仕組みを先に設計する
  • ECの基盤機能がメディアコマース戦略の実行を左右する

CMS機能の使いやすさ、アクセス解析との連携、商品ページへの導線設計、これらの機能が自社のECシステムに備わっているかどうかで、コンテンツ運用の効率は大きく変わります。

少人数でも回せるEC運用体制の構築にご興味がある方は、こちらの「通販マーケッターGrowth!」もご覧ください。

▶︎「通販マーケッターGrowth」はこちら

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